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IHI系など重工系の造船部門が統合し、2013年に誕生した。規模拡大と技術力向上を狙ったが、改革に出遅れ足元では中韓勢との価格競争に苦しむ。国内の業界再編が小康状態となるなか、生き残り策を語る。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

千葉 光太郎[ちば・こうたろう]氏
1957年宮城県生まれ。82年東北大学工学部卒業、日本鋼管(現JFEホールディングス)入社。2002年にJFEと日立造船の造船部門が統合したユニバーサル造船に転籍し主に艦船の修繕部門を担当。13年にユニバーサル造船とIHIマリンユナイテッドの統合でジャパンマリンユナイテッド(JMU)が誕生し、同社に転籍。16年同社常務執行役員、18年4月から現職。幼少期は子役として活動した。62歳。

日本の造船業界は長らく厳しい状況が続いてきました。足元の市場環境はいかがですか。

 非常に厳しいです。海運業界では2020年1月から船舶燃料に対する環境規制の強化が始まります。ここ1~2年は顧客がこの規制にどう対応すべきかを様子見していたため、発注が進みませんでした。

 加えて米中貿易摩擦の収まりどころが見えないのが大きいですね。船の建造は安くても20億~30億円、大きくなれば100億円近い投資になります。船主の心理的な影響は大きく、慎重になっています。

 もう一つ厳しいのが船舶価格です。造船各社は環境規制に対応するための新技術を開発していますが、そのコスト増加分を価格に反映できるような市場環境ではありません。

次に市場が勢いを取り戻すのはいつぐらいになるでしょうか。

 それはもう私が聞きたいぐらいです(笑)。世界の荷動きは増える方向で、船のチャーター料は間違いなく上がっています。でも世界的な経済の不透明感があるため顧客は投資を差し控えています。

造船業界は受注環境が厳しい期間が続いた後、数年だけ業界が潤うというサイクルを繰り返している印象です。

 その通りですね。10年のうち2~3年で稼いで、あとの7年間は耐え忍ぶことの繰り返しです。投資家がこういったビジネスを許すかどうかでいえば、それは非常に厳しいでしょう。

日経ビジネス2019年11月11日号 108~111ページより目次