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メガネレンズから医療用内視鏡、半導体材料まで光学技術を生かした多角化経営を推進。売上高の7割を海外で稼ぎ、日本の従業員は今や全体の1割に満たない。仕事も生活もシンガポールに拠点を置いて見えてきた日本の姿とは。

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(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=陶山 勉)
PROFILE

鈴木 洋[すずき・ひろし]氏
1958年生まれ。82年東洋大学経営学部卒。85年に米メンロー大学を卒業しHOYA入社。97年常務、99年専務、2000年社長。03年より現職。11年からシンガポール支店代表を兼ね、生活の拠点をシンガポールに置く。HOYAの中興の祖といわれた鈴木哲夫元社長の長男。東京都出身。

社長就任から20年近く、一度も赤字にならず、利益も大きく伸ばしてきました。何が好業績のポイントですか。

 運だね、運(笑)。私が何かをしたからというよりも、その前に20年ぐらいやってきたことの結果が出ているんでしょう。ここしばらくは日本以外の市場で売り上げや利益を伸ばしてきました。25年前、30年前に「日本以外のビジネスを一生懸命やるべきだ」と言って手を打った人たちがいたからです。

 直近では、半導体が新しい露光技術への移行が進むタイミングにうまく乗っかって半導体製造用マスク材料の販売が伸びたことが好業績につながりました。この技術開発も始めたのは20年以上も前。それをしつこく続けてきたらようやく結果が出てきたんです。

これから10年、20年先を考えると、どんな手を打っておくべきですか。

 この会社の経営の基本的な考え方は、1つの会社の中で小さい複数の事業の中身を時代に合わせて変えていくというものです。今の事業は“歳”を取ったものが多く、収穫期に入っているので利益は出ています。ただ、次の20年を考えるとポートフォリオの入れ替えをしなければいけない時期に来ている。

今、それを模索していると。

 それが私の本業なので。

日経ビジネス2019年11月4日号 76~79ページより目次