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グローバル化や新自由主義の負の側面が注目される今こそ日本が再飛躍する好機だという。独自のソフトパワーとモノ作りの力にビッグデータを掛け合わせれば、新事業を起こせるとみる。一方で、制度疲労に向き合う経営者の覚悟も必要だと主張する。

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(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=菅野 勝男)
PROFILE

桜田 謙悟[さくらだ・けんご]氏
1978年早稲田大学商学部卒、安田火災海上保険に入社。92年から4年間、アジア開発銀行勤務。安田火災は2002年、日産火災海上保険と合併し、損害保険ジャパンに。同社と日本興亜損害保険を傘下にして発足したNKSJホールディングス(現・SOMPOホールディングス)で10年4月、取締役常務執行役員に就任した。12年4月、NKSJホールディングス社長就任。19年4月には経済同友会代表幹事に就任。財界きっての論客として知られる。

1990年初頭のバブル崩壊以後、約30年にわたって日本経済は長期間の低成長が続いています。どうすればこの状況から脱することができるでしょうか。

 結論から申し上げると、むしろ日本にとっては「チャンス到来」と見ています。日本が持っているコアコンピタンスを生かすべき好機が訪れているのではないでしょうか。日本人の持っている精神性、それに基づく社会やソフトパワーです。日本では、そこに技術力などがうまく調和した経済を長い間維持できている。これは世界が目指すべき姿だといっていいと思いますよ。

どういうことですか。

 損害保険ジャパン日本興亜などを傘下に持つNKSJホールディングス(現・SOMPOホールディングス)の社長になって7年になります。その間、5回ほど世界の政治家や実業家が討論する「ダボス会議」に参加しました。

 そのメインテーマを振り返ると、ここ10年のうち最初3年ぐらいはグローバリズムとか自由貿易のように、「ルールをできるだけ少なくして、自由になることが素晴らしい」といったものでした。次の3年は、「自由競争というのはどうやらすべてがいいことではない」となってきた。そして直近の3年ぐらいは、明らかにグローバリズムや新自由主義から負の部分が表れていると言い出しています。格差の問題なんですね。

 デジタル革命によって経済格差がさらに広がっています。勝ち組と負け組が明確になり、あり得ないような差が生まれてしまった。それがポピュリズムや自国第一主義を生み出しています。そういった格差や、自分さえよければいいといった考え方に対して、アンチとまでは言いませんけれども、抑制的に進化してきたのは日本だと思います。

日経ビジネス2019年10月21日号 76~79ページより目次