日本人は人がよすぎる

もっともうけられるのに、日本はその機会を逃しているということですか。
ほかにも例があります。紳士服向け毛織物の産地、尾州(愛知県西部)のある会社は、すごく複雑な生地を作って、フランスの「エルメス」や「ルイ・ヴィトン」といった高級ブランドに売っていました。
ブランド側は頂点のごく一部の商品にだけ尾州の生地を使い、ボリュームゾーンの商品には中国の生地を使っていました。複雑な生地なので失敗もあり量は作れません。しかもコストがかかる。それでも尾州の会社は技術は素晴らしいと言って、自己満足している。
一方、中国は定番の生地をたくさん作る。生産が安定して手間がかからないから、利益率は低くても利益額は大きい。この話も、人がいい日本人の典型的な話でしょう。
なぜ日本人は損な役割に回ってしまうのでしょうか。
中国の友人とこういう話をしました。子供の教育で中国は「人にだまされるな」と教え、韓国は「人に負けるな」と教える。日本は「人に迷惑をかけるな」という。この言葉が象徴的ですね。
ただ、見方を変えれば、高い技術力、そして勤勉さ、誠実さを生かせば必ず日本は再生すると確信を持っています。
具体的に日本企業に足りないのは何でしょうか。
マーケットインの考え方です。1社単独でなくても、日本企業が協力し合って、キーデバイスから最終完成品まで手掛けるべきだと思います。
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