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2030年には京大を抜く

学生にはどのように接していくつもりですか。

 京都学園大学時代は、学生を留年させたらいかんと思っていたようですが、それも変えました。以前は留年させて学生が減ったら大学の収入が減ると恐れていたようだけど、それではいかん。

 まず英語で卒業生はTOEICで最低650点。ということは、平均750点ぐらいなりますね。それぐらいまでもっていくつもりです。人間ってね、潜在能力を持ってるんですよ。

 工学部では将来、留学生を学生の5割にしたいと思っています。それも世界中から優秀な学生を集めるつもりです。最初はそこまではいけませんが、徐々に増やしていきたい。

 成績優秀なら学費や寮費は全額持って、下に落ちたらそれが50%になり、最後は全部払えとか、そんなことも考えられる。行き過ぎと言われるかもしれないけれど米国では当たり前。学生にとっても目標になるはずです。

既に大学はかなり変わり始めていますか。

 新たな体制になった後の今春の入試では志願者数が大幅に増えました。帰国子女が多いけど、TOEICで900点を超えている学生もいる。でも目標はもっと大きいですよ。

 世界の大学ランキングというのがありますね。論文の引用率の高い研究者の数や論文の引用数、学生1人当たりの教員数、外国人教員比率、雇用側からの評価などで本当に質のいい大学を見るものです。これで2025年には関関同立(関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学)を、30年には京都大学を抜きたいと思っています。

 周りの学校も多分、先端科学大が成功するかどうかを見ているでしょう。だからうまくいったら「なるほど」となってみな変わっていくんじゃないかと思います。それでいいのです。

現状の大学教育に問題を感じるにしても、なぜそこまでやるのですか。その危機感はどこから来るのでしょう。

 言うまでもなく今は技術の大変革期です。例えば自動車なら、私は30年ごろにはEV(電気自動車)になると思っています。特に中国は30年くらいには7~8割がEVになるんじゃないですか。分岐点は25年ぐらいで、そこからぐっと増えていくのではないでしょうか。

 中国がEVの最大の市場になって大きく変わっていく。それとロボットとか、ドローンも増えていく。日本電産は自動車で言えばエンジンに代わる駆動系のキーコンポーネントをやっているし、ロボットなどもますます競争は激しくなる。技術の変革期はそんなものです。

大学の偏差値とブランド主義の打破が僕の改革。技術の大変革期、このままでは中国企業に負ける。(写真=菅野 勝男)

 そこでぶつかるのは中国企業です。特に自動車はそう。今のところ駆動系などで日本は負けていないけど、今の大学教育のままではやがて負けるかもしれませんな。EVだと中国企業とかグーグルなんかの新興勢が上に出てきて、世界一はトヨタでもフォルクスワーゲンでもないかもしれない。

 日本の中小企業は難しいロケットの部品も簡単に作る。それが今、後継者がいなくなって町工場が閉まっている。小さな会社の跡継ぎ息子などに経営と中小企業の魅力を教えて、きちんと後継者として育てる。先端科学大の役割はそこにもあります。

日経ビジネス2019年10月7日号 56~61ページより目次