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「教えて育てていない」今の教育

具体的に、どのように改革を進めておられるのですか。

 暗記とテクニックで大学に入って、出てくるというのは、言ってみれば仮の姿ですわね。本当の力がついてないから社会へ出たら負けてしまう。それを是正しようというのが僕の改革です。偏差値とブランド主義の打破です。卒業したら英語はペラペラだし、専門性も身につけていて即戦力になる。

 もっと問題なのは、今の大学生は人間形成ができていないこと。言葉遣いもできてないし、大学へ行ったら講義で寝ているか、スマホばかり触っている。それも変えないといかんわけです。

 それにはまず先生から変えていかないといけない。私自身が大学内を回って、「何で先生がこんな格好して教えてるんですか」と言ったり。後ろで学生がスマホで遊んでいたり、寝ていたりすると、何でそれを注意しないんだと教授に言う。そこから始まっているんです。先生を呼んで「教室で学生が寝ていたり、先生と呼んでもらえない理由はあなたたちにある」と言ってます。

まず教える側から変えていく必要があったわけですか。

私財100億円以上を投じ改革に乗り出した京都学園大学(4月に京都先端科学大学に改称)

 そのためにまず私が理事長になりました。学長と既存4学部の学部長もみな代わってもらった。大学名も今年4月に京都先端科学大学に変えました。

 講義は英語にしていきます。来年4月には工学部を新設する予定で、ここは1年生の後期から専門科目の授業は英語でやります。先生も3分の1は外国人にするつもりです。徹底的に英語をやりますから、専門課程に入る時には相当なレベルになっているはずです。

 もちろんついていけない学生もいるでしょう。だからその日の夕方には日本語で同じ授業をやります。英語で分からん学生は残ってやれと。そのために追加の学費なんかはとりません。

 だから先生も意欲のある人を集めていかないといけない。でも、30人募集したら600人の応募がありましたよ。夕方の補習にしてもポスドク(博士号取得後に任期制の研究職に就いている人)や大学院生などでアルバイトをしたい人に来てもらうつもりです。

 教育というのは「教えて」「育てる」こと。講義中に寝ているのは学生のせいと思うでしょうが、違う。それは先生の話が面白くないから寝るんだと。

 今の若者は90分間の座学は無理だと言っているんです。座学は45分間で、残りを実験にするとか、動画を見せるとか工夫をしないといかん。(先生たちに)あなた方は教えているだけで育てていないのではと言っているわけです。

 大学院も作りたいと思っています。

 京都駅前に夜間のビジネススクールをね。主に技術者向けにです。

 なぜかというと、日本企業では事務系の人ばかりが偉くなるからです。技術者がCEO(最高経営責任者)になっている例は非常に少ない。そこが米国とは全く違いますね。でも、技術者が経営者にならないと勝てなくなっているのです。それも何とかしたい。

日経ビジネス2019年10月7日号 56~61ページより目次