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かつては販売チャネルの拡大や極端な値引きに走り、業績不振に悩まされていたマツダ。自ら交渉役となったトヨタ自動車との資本提携で土台を固め、ブランド価値の向上を進める。足元の世界販売は苦戦するが、デザインやエンジンで勝負をかける。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=森本 勝義)
PROFILE

丸本 明[まるもと・あきら]氏
1957年8月、広島県生まれ。慶応義塾大学工学部卒業後、80年東洋工業(現マツダ)入社。開発・設計畑が長く思い入れのある車は開発主査を務めたミニバン「MPV(現在は生産終了)」。99年に当時41歳で取締役に就任し米フォードとの共同事業を担当。2013年に代表取締役副社長として米国事業の統括なども務める。17年のトヨタ自動車との資本・業務提携では小飼雅道会長の右腕として交渉の実務を担った。18年6月から現職。愛車はアテンザとロードスター。62歳。

2017年のトヨタ自動車との資本提携では交渉を担当しておられました。先日もトヨタとスズキの資本提携が決まりましたが、マツダのように規模が大きくない自動車メーカーは今後、単独で生き残ることは難しいのでしょうか。

 電動化や自動運転を含めたセンシングなど、とても1社で全部やりきることはできません。コネクテッドカー(つながる車)や自動運転ではインフラとのやりとりが必要になります。マツダの規模でそうした分野までも独自開発することは、ちょっと考えられないですね。

 ですからマツダのようなスモールプレーヤーはパートナーと一緒に仕事をすることが適切です。トヨタさんとは以前からハイブリッド車(HV)の技術や個別の商品でやりとりがあり、もっと広いレベルで考えてみませんかという話を持ち掛けていただきました。

トヨタの豊田章男社長が(マツダがよく発信する)「人馬一体」と書いた色紙を持っている写真を見かけて、マツダと何かやるのではと思った記憶があります。

 マツダの車に乗ってもらう機会を作ろうと、山口県美祢市にあるサーキットに豊田社長をお招きしたのです。土砂降りの中でしたが、(スポーツカーの)「RX-7」や「ロードスター」など準備した10台に全部乗られました。

 その際、うちの社員が「時速20~30kmで走ってください」とお願いしたんですね。車の良し悪しはスピードが出ていなくても分かるからです。その後、ビジネスの部分はもちろんですが、技術的にも協力してやっていける可能性があるという話になりました。

日経ビジネス2019年9月23日号 80~83ページより目次