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米中貿易戦争が激しさを増す中、世界経済の先行きに不透明感が漂っている。台頭する保護主義に対し、自由で公正な貿易ルールの必要性を強く訴えた。商社が生き残るには、スタートアップとの連携がカギを握るとみている。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

中村邦晴[なかむら・くにはる]氏
1950年8月、大阪府生まれ。74年大阪大学経済学部卒業、同年住友商事入社。自動車第一部長などを経て、2005年執行役員、07年常務執行役員、09年専務執行役員、12年代表取締役社長、18年4月代表取締役会長、同年6月取締役会長。18年5月から日本貿易会の会長を務める。

米中貿易摩擦の激化などにより、世界経済の先行きに不安が広がっています。商社の業界団体代表として、現状や影響をどのようにみていますか。

 世界のあらゆる地域で不透明感や不確実性が拭いきれません。かつては米国がおかしいときに欧州がしっかりしているといったように、ある程度カバーできる地域があったものですが、今は世界全体が不透明。一気に世界的な景気後退までは行かないだろうと思っていますが、急によくなるという期待も持てませんね。

 そのなかで、失われた20年からアベノミクスで盛り返した日本は、よくやっていると思います。日本は経済と政治が安定している唯一の大国ではないかと思っています。

報復関税の応酬で米中の対立はエスカレートする一方です。

安倍政権の外交に期待感を示した(写真は8月25日の日米首脳会談後)(写真=共同通信)

 GDP(国内総生産)が世界1位と2位の国ですから、2国間の問題では収まりません。両国経済が停滞すると世界に与える影響は当然あり、嫌だなと思っています。6月の米中首脳会談で当面棚上げとなった第4弾の関税措置を、トランプ大統領が結局打ち出したことで、今後の行方が見えにくくなりました。対象に消費財が多く、実行すると急速に景況感が悪化するのではないかと心配しています。

日経ビジネス2019年9月9日号 74~77ページより目次