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KDDIの前身の一つで、稲盛和夫氏が創業した通信ベンチャー、第二電電の1期生。大企業となったKDDIを率いる今、スタートアップと組んでさらなる成長を目指す。政府の携帯値下げ要請に反省するも、あくまで民間の競争を求める。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=北山 宏一)
PROFILE

高橋 誠[たかはし・まこと]氏
1961年、滋賀県生まれ。84年3月横浜国立大学工学部卒。同年4月に京セラに入社して間もなく、稲盛和夫氏がNTTの対抗軸として創業した第二電電(DDI、現KDDI)に入社。携帯電話のインターネット接続やコンテンツ配信、決済など電話の枠にとらわれない新サービスの開発に携わり、スタートアップ企業と大企業を結ぶ支援プログラム「ムゲンラボ」を立ち上げた。07年に取締役、10年専務、16年副社長。18年から現職。57歳。

この10月から携帯電話市場に新規参入する楽天に対して、KDDIは地方の通信設備を貸し出す「ローミング」契約を結んでいます。ただ楽天は、自前でエリア展開するはずの東京23区などで通信インフラの整備が遅れていると聞きます。KDDIがもう一段踏み込んで支援する可能性はありますか。

 それはないでしょうね。そもそも自分たちで通信インフラを整備するのが携帯電話会社なんですから、(次世代通信規格である)5Gも含めてきちんと投資をして、整備してもらわないと(NTTドコモやKDDI、ソフトバンクに続く)第4の携帯電話会社にはなり得ないでしょう。

 我々も通信インフラを整備するのに、ものすごく苦労してきたわけですよ。そこはやはり楽天さんにも苦労してもらえれば、と思います。

楽天は通信機器が持つ各種機能をソフトウエア化し、一般的なサーバーで動かす「仮想化」という技術を、競合他社に先駆けて通信インフラの大半に取り入れたとアピールしています。

 業界全体の大きな流れで言えば、通信インフラへの仮想化技術の導入は必然的な動きです。実は、通信会社ならどこでも当たり前のように対応を進めてきているんですよ。

 当社の傘下に、IoT(モノのインターネット)用途向けの格安通信サービスを提供するソラコムというスタートアップ企業があります。KDDIはこの企業と一緒に、仮想化技術を取り入れた革新的な通信インフラをIoT市場向けに作り上げていこうとしています。

日経ビジネス2019年9月2日号 90~93ページより目次