電機産業のかつての「名門」は、20年近くにわたる縮小基調から抜け出そうともがいている。業績目標の未達を繰り返す執行役員の処遇を見直し、現場とのコミュニケーションを強化した。目標は「2020年度に営業利益率5%」。職を賭して達成を目指す。
(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

新野隆[にいの・たかし]氏
1954年、福岡県生まれ。京都大学アメフト部の名将、水野弥一氏から薫陶を受けた。京大では工学を専攻するも、77年にNECに入社してからは技術畑ではなく、金融機関向けの営業畑を歩む。銀行マンを相手に泥臭い営業スタイルでシステムを受注する同僚が多い中、スマートなスタイルを貫く「異色」の営業マンとして頭角を現した。2016年4月から現職。現在はアメフトから鞍替えし、ラグビーの観戦を趣味にしている。64歳。
NECの売上高は過去最高だった2000年度の5兆4000億円と比べて半分近くまで落ち込んでいます。なぜ、20年近くも凋落し続けたのでしょうか。どう総括されていますか。
いろいろな理由があると思いますが、NECはそもそも技術の会社です。新たなモノに対する技術開発を進めてきました。パソコンがそうですし、半導体や折り畳み式の携帯電話もそうです。これらの製品は当初は世界で高いシェアを獲得してきました。
ただ、新しいモノが本格的な普及期に入ると、どんどんプレーヤーが参入してくる。ある段階から、物量の競争になるのです。こうなると、大量に安く供給するためにケタ違いの設備投資が必要になる。スケールの違うビジネスを展開しなければなりません。
物量戦を仕掛けてきた台湾や韓国、中国勢との戦いですね。
彼らはケタ違いの投資をやりながら市場を取っていく。我々もある程度のところまでは従来の経営スタイルで対応できますが、その範囲を越えると手が打てなくなる。グローバルな物量戦となると、技術力は関係がなくなってしまいます。
本当は手が打てなくなる前に事業売却などの経営判断をしなければならなかったのに、あまり明確にしてこなかった。例えば、携帯電話にしても、半導体にしても、一時はものすごく利益を上げましたから。
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