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目的地に道案内するカーナビゲーションシステムに搭載するデジタル地図の世界大手。アウディなど独自動車大手3社の出資を受け、地図情報のプラットフォーマーの座を狙う。無限の可能性が広がる地図ビジネスの将来像を語った。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

エザード・オーバービーク[Edzard Overbeek]氏
1967年オランダ生まれ。英ブラッドフォード大学にて経営学修士号を取得。2000年に米シスコシステムズに入社し、07年に同社の日本法人社長に就任。シスコでは、アジア太平洋・日本・グレーターチャイナ地区社長を経て、12年にシニアバイスプレジデント。16年春から現職。オランダの通信会社、KPNの監査役会役員も務める。52歳。

欧米のカーナビゲーションシステム用の地図では8割のシェアを握っているそうですね。なぜ、そんなに強いのでしょう。

 地理情報を集めてデジタル化するのは簡単な作業ではありません。デジタルとリアルの世界が100%マッチングしていないといけませんから。我々は技術への先行投資を続け、最新の地図情報を提供できるようにしてきました。

そもそも、どうやってデジタル地図を作るのですか。

 我々は世界で8万件のパートナーと契約をしています。相手は企業や自治体など。地理情報を持っているところからデータをもらって地図を作るのです。タクシー会社や物流会社の協力も得ています。宅配サービスで顧客に荷物を届ける物流会社からは、ラストワンマイルの貴重なデータが得られます。

 (インターネットを通じて個人に仕事を発注する)クラウドソーシングの手法も活用します。膨大な数の個人契約のパートナーが地理情報を集めてくれます。さらに、最先端の設備を搭載した自前のデータ収集車両を世界で約400台走らせ、地理情報の精度を高めています。

車メーカーに選ばれる理由

世界中から地図データを集め、それを日々、更新しているのですね。

 車内でヒアの地図を使ってもらえば、建物が立体的に表示され、「スターバックス」や「ユニクロ」がどこにあるかを知ることができます。EV(電気自動車)のドライバーにとって重要な充電スタンドの位置情報も提供しています。一口に地図情報といっても、消費者が自身の生活で役立つコンテンツにしていくことが重要になります。

 我々の情報収集のスピード感は、競合よりもずっと速いと思います。データの鮮度、精度への信頼感が、自動車メーカーに選ばれている理由でしょう。

自動運転時代になれば、ますます地図データの重要性が高まりますね。

 非常にワクワクする時代になってきました。以前、我々は各地で写真を撮って地図を作っていましたが、今はソフトウエア会社になりました。ビッグデータを分析するデータアナリストやデータサイエンティストなどの専門家も抱えている。最先端を走っている実感があります。

日経ビジネス2019年7月29日号 114~117ページより目次