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創業10年で時価総額8兆円を超える企業に成長したライドシェアの先駆者を率いる。赤字でも宅配や「空飛ぶタクシー」など事業多角化に突き進む勝算はどこにあるのか。5月の上場後、日本メディア向けでは初の単独インタビューに答えた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=Shaun La)
PROFILE

ダラ・コスロシャヒ[Dara Khosrowshahi]氏
1969年イラン生まれ。79年のイラン革命直前に難民として渡米した。米ブラウン大学卒。投資銀行アナリストを経て、98年に米ネット大手IACグループに移籍し、CFO(最高財務責任者)に就任。2005年に同社が買収した米エクスペディアのCEO(最高経営責任者)を経て、17年から現職。50歳。

5月10日にニューヨーク証券取引所に上場しました。この時期の上場を決めたのはなぜでしょうか。

 ウーバーテクノロジーズがそもそも上場すべき企業であると考えていたからです。人々がどのように移動し、そのためにどんなモビリティー(移動手段)が必要で、それによって都市はどう変わっていくのか。ウーバーが今後の世界を形作るうえで重要な役割を担う以上、投資家たちに広く投資の機会を与えるべきだと。

 調達した資金は未来のモビリティーを実現するために使います。モビリティーの革新には巨額の資金が欠かせません。上場でその資金を手にできたことを喜ばしく思いますし、株主のためにも長期にわたって価値を生み出せる企業でありたいと思っています。

2019年1~3月期の最終損益は10億1200万ドル(約1100億円)の赤字で、これで4四半期連続の赤字になりました。どう黒字化しますか。

 我々は現時点での赤字は「将来の成長への投資」ととらえています。ウーバーの取引総額は年間500億ドルに上り、為替レートの影響を除いた成長率(19年1~3月期の前年同期比)は40%以上です。これほどの規模でこれほど速く成長している企業は、世界でも数社しかないでしょう。

 対象となる市場の規模も、配車や食事宅配サービスなどを合わせると世界で10兆ドルを超えます。これらの市場で勝者となるのは多くの場合、早期参入者です。市場に早く参入し、旺盛な投資で成長を遂げ、かつ迅速に革新を起こせる企業がゲームに勝つことができるのです。

日経ビジネス2019年7月15日号 70~73ページより目次