北海道発のドラッグストアが売上高で2017年にマツモトキヨシを抜いて業界2位に躍り出た。積極的なM&Aで、くすりの福太郎(千葉県)などを傘下に収め、店舗数は日本一となっている。競合がコンビニやスーパーに広がる中、次のドラッグストア像を探る。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=村田 和聡、以下同)
(写真=村田 和聡、以下同)
PROFILE

堀川 政司[ほりかわ・まさし]氏
1977年旭川工業高校卒、ツルハ入社。東北地方への進出など店舗開発を長く担当した。97年ツルハ取締役、2008年ツルハHD取締役専務執行役員・グループ店舗開発担当。14年に創業家以外で初めてツルハHD社長に就任した。15年にレデイ薬局(愛媛県)、17年に杏林堂薬局(静岡県)、18年にビー・アンド・ディー(愛知県)と立て続けに買収を進め、17年に売上高で業界2位となった。

ドラッグストア業界は合従連衡が進み、企業数が激減しています。競争が激しくなるなか、ツルハホールディングス(HD)は2055店(2月15日時点)と業界で最も店舗が多くなりました。

 店舗数にはずっとこだわってきました。ドラッグストアの商品はほとんどがナショナルブランドで、あまり差が付かない。そうするとプライベートブランド(PB)が重要になる。そのためには販売力や一定の店舗数が必要です。2019年5月期は新規に130店出店する計画です。でも、ツルハだけでは1年に3桁の数は出せないですね。

これまでと同様に、買収した会社と事業会社ツルハとの両輪で成長を目指すということですか。

 グループに入ってもらうメリットは数多くあります。09年に旧ウェルネス湖北(島根県)を買収したとき、オーナーに話を聞くと、1店舗つくるのに1億4000万円以上かかっていた。利益も出ていないから、借り入れで出店して利息が掛かるというのが実状だったんです。我々は当時4700万円で出店できたので、1軒分のコストで3軒出せるということです。

 同じグループだと、こういう開発のノウハウや情報が交換できます。これにより旧ウェルネス湖北やくすりの福太郎(07年に買収)といった事業会社で出店スピードが上がりました。一方でツルハの出店スピードは落ちない。それで期末店舗数の15%をめどにして毎年出店ができるようになりました。成長のエンジンの一つはやはり出店です。

入社時は8店舗

コストの差はどこにあるのでしょうか。

 店をつくるための共通部材、例えば照明器具や空調を年間でこのぐらい買うという契約をメーカーとすることで安定した単価にしています。建物はほとんどがリースですが、大家さんには建設会社のコンペをしてもらって、一番安いところに決めてくださいとお願いします。こうしてイニシャルもランニングもコストを下げる。我々はそうやってきました。

入社は1977年。ツルハの揺籃期からのメンバーですね。

 入社したときは8店舗しかありませんでした。僕は北海道の旭川生まれで当時は本社も旭川。社内に当時「道内100店舗」という目標が書いてあった。社長だった鶴羽肇現ツルハ名誉会長が5店舗の時に20倍にする目標を掲げていたんです。でも8店しかないのに100店なんてできるのかなと半信半疑でしたよ。50店舗になったとき、目標はその20倍の1000店舗になりました。その時はできるんじゃないかと思いましたね。

 そのころはトップがそういう話をいつもしてくれたし、我々も聞いているとできるんだと思うようになる。50店舗できて、目標じゃなくて夢みたいなものになったよね。でもトップは必ずやり遂げるという思いだったはず。

トップが言い続けると周りもその気になる。

 そう。やるんだ、つくるんだというふうに変わっていくんですね。

これだけ店舗を増やして、苦労話も多いでしょう。

 挙げれば切りがないですよ。津軽海峡を渡って、東北に1号店を建てたときは地元薬局の反発もあって大変でした。1週間に3~4回保健所に行って、打ち合わせをしなくてはならなかった。

 我々は一般の地主さんから土地をお借りし、建物を建ててもらいます。当時、東北にツルハの店はない。会社を理解してもらうまでに時間がかかるし、認知度がゼロの中で地主さんの信頼を得る難しさがありました。

 1回行って、ドアをノックしても玄関には入れてくれないので何回も行く。やっと玄関に入れてくれて、今度は家の中に入っていく。そうなれば貸してくれることが多かった。今思えば、楽しかったですね。

立地はどうやって選んでいますか。

 僕は関東に行って、失敗しています。北海道や東北に比べ、関東は人口密度が違うでしょう。僕たちみたいな田舎者は人のいないところで店をつくってきたから、人がいるならどこに出しても売れると思ってしまったんです。

 でも東京は、コツというかポイントがあるんです。このブロックに出すならいいけど、こっちのブロックはだめとか。近くのブロックでも少しずれるとだめなんです。それが東京では分からず、赤字を出して、短期間で閉店しました。ワンブロック違ったら、人の流れが変わるんです。

 だから今、開発担当者は出店する都道府県に出張するのではなく、現地に住まわせています。住むと人の流れを覚えるでしょう。店を出している33都道府県に必ず1人は社員がいます。

次ページ 海外はまずタイを黒字に