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世界経済の内向き志向が強まる中、海運の荷動きにも影響が懸念される。実体経済は悪くないとみるが、国内3社によるコンテナ事業統合は出足でつまずいた。環境規制強化によるコスト増も控える中、どう世界で生き残るのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=陶山 勉)
PROFILE

内藤忠顕[ないとう・ただあき]氏
1955年生まれ、63歳。愛知県出身。78年一橋大学経済学部卒業後、日本郵船入社。中南米など向けの自動車船や定期船を担当し、ドイツのハンブルクで現地法人立ち上げにも関わった。2008年取締役常務経営委員、13年副社長。15年から現職。

反グローバル主義が台頭し、経済が内向きになっていく流れが世界的に広がっています。海運での荷動きにどんな影響が出ているのでしょうか。

 保護主義的な動きが世界経済に影響を及ぼし、結果として貿易の伸びが名目GDP(国内総生産)成長率を下回る「スロートレード」がどこまで進んでいくのか。そこに強い関心を持っています。2015年と16年は確かにスロートレードの傾向が出ていました。17年以降は回復しています。

 再び深刻化する可能性はないとは言えませんが、そうそう極端に進むことはないとみています。アジアから北米への航路で多く運ばれている品目といえば家具やTシャツなどです。今さら、米国やその近隣諸国で生産するようになるとは考えにくいですよね。

 もちろん心配はあります。一つは中国の動向です。かつては内需が減少しても自国生産を減らさずに輸出で埋め合わせるような動きが目立ちました。それによって世界的な過剰生産となり、逆に経済が停滞するリスクが高まりました。再びそうした事態が生じ、他国の企業活動が停滞してしまうのは望ましくありません。