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欧州最大のコンサルティング会社を創業し、多くの企業の経営改革に助言してきた。歴代のドイツの政権に影響を与え、欧州連合(EU)の経済運営にも関与している。ドイツ経済の重鎮に、世界の政治経済の行方を聞いた。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=:竹井 俊晴)
PROFILE

ローランド・ベルガー[Roland Berger]氏
独ルートヴィヒマクシミリアン経営大学院でMBA(経営学修士)を取得した。米系コンサルティング会社のパートナーを経て、1967年にドイツで自らの名を冠したローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツを創立した。同社は欧州最大のコンサルティング会社に育ち、2003年から同社会長、10年から現職。欧州委員会や域内国家における政府専門委員などを歴任している。

最初に世界情勢をどう見ているかをお伺いしたいと思います。経済をけん引してきたグローバリゼーションに逆行する動きが広がり、貿易では保護主義の傾向が強まりました。

 グローバル化は確実に世界に恩恵をもたらしてきました。貿易を活発にしただけではありません。人道主義も世界に広がり、1日に1.25ドルしか稼げない極度の貧困層の人々の数は、1981年の42%から10%まで減少しています。平均寿命も70年頃から近年までの間に58歳から72歳になりました。多くの貧困国で生活の質が目覚ましく向上したことを示しています。

 トランプ大統領が率いる米国の反移民の姿勢が引き金となり、反グローバル主義の時代を迎えました。米国が関税措置を通じて中国などを相手に貿易戦争を始めたことは、世界経済への深刻な脅威です。過去を振り返っても、貿易戦争は世界のGDP(国内総生産)を減少させる要因でした。グローバル経済が後退し、欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)で生じた富が、域内にとどまってしまいます。