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平成の30年で、世界を発展に導いた資本主義の形は大きく変わった。日本でも格差の拡大が指摘される中、社長時代とは異なる危機感を抱く。今後は成長だけでなく、富の分配に配慮することが重要と説く。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE

[みやうち・よしひこ]1935年神戸市生まれ。58年関西学院大学商学部卒業。60年ワシントン大学経営学部大学院でMBA取得後、日綿実業(現双日)入社。64年オリエント・リース(現オリックス)入社。70年取締役、80年代表取締役社長・グループCEO(最高経営責任者)、2000年代表取締役会長・グループCEO。14年から現職。政府の総合規制改革会議議長や経済同友会副代表幹事なども務めた。野球好きとしても知られ、オリックス・バファローズのオーナーでもある。

約30年あった平成の幕が閉じようとしています。経営の最前線で世の中を見てきた宮内さんにとって、平成とはどのような時代だったでしょうか。

 ものすごく変化に満ちた時代でした。まず平成になってすぐの1989年に冷戦が終わり、ほどなくして日本のバブル経済が崩壊しました。モノづくりの拠点が日本から中国をはじめとする新興国へと移り、それまで「世界の工場」として発展してきた日本の仕組みが変わり始めたのもこの頃です。あらゆる意味で、平成の始まりは分岐点だったと言えましょう。

 その後、日本経済が迷走したのは政府や日銀のミスが大きかった。(金利を短期間で急激に引き上げて)バブルを潰すという、ミスをしました。その結果、至る所で資金供給が滞り、経済がにっちもさっちもいかなくなりました。にもかかわらず、政府は次の手を打ちませんでした。

 経済政策に関して無知だったんでしょうねえ。数十兆円の損失を抱えているのに、6850億円投入するかどうかで政治家は1年間大騒ぎ。「住専国会」は、その象徴でしょう。最終的に銀行に公的資金を注入し、問題を収めました。90年から97年ごろまでの経済政策は本当にひどいものでしたね。