ブランド評価調査「ブランド・ジャパン2023」では、「お出かけ」銘柄が順位を上げた。コロナ禍が落ち着き、テーマパークやリゾートホテルから運輸まで幅広く上昇した。「家の中から外へ」と視点を移す生活者の変化を追い風にできた企業の秘密は何か。

2月末、大阪市にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の人気エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」には、お客の笑顔と歓声が広がっていた。緑の土管を通って“ワープ”し、同エリアに入るとビデオゲームの画面の中に入り込んだような景色が飛び込んでくる。
エリア内には「?」の印が付いたブロックがあり、エリア専用のバンドを腕に装着してブロックをたたくとコインを獲得した音が鳴る仕掛けも。自分がマリオになった気分だ。
ピーチ姫などもいるエリア内を歩き回ると、ゲームのキャラクターと実際に触れ合うような感覚になる。
しかも、1980年代にファミコンで遊んだ親世代からニンテンドースイッチ世代の子供たちまでよく知るキャラクターばかりなので、家族みんなの気持ちが盛り上がる。
USJが19位からトップに
日経BPコンサルティングが実施したブランド価値調査「ブランド・ジャパン 2023」(BJ2023)の一般生活者編で、USJが前回の19位から1位へと躍進した。「ディズニー」も前回の18位から4位へと上がっている。
テーマパークに限らず、今回の調査では「お出かけ」に関連するブランドが軒並み上昇した。上位40位だけでは全体の傾向が見えてこないので、一般生活者編1000ブランドのランキング推移をいくつか抜き出してみよう。
リゾートホテルの印象が強い星野リゾート(前回153位から118位)やプリンスホテル(同678位から446位)、航空会社のJAL(日本航空、同296位から159位)やANA(全日本空輸、同170位から163位)、鉄道会社のJR東日本(同231位から190位)、阪急電鉄(同572位から458位)、といったブランドの回復が目立った。
調査実施は昨年11月。新型コロナウイルス禍に入って3年弱となり、全国旅行支援が話題となった時期だ。一般生活者の意識が「家の中から外へ」と変わることを先取りするランキングといえる。トヨタ自動車(同64位から10位)、ホンダ(同267位から89位)、日産自動車(同231位から206位)など自動車ブランドへの関心が戻ったことも、こうした意識と無縁ではない。

一方、前回まで3年連続で1位だったYouTubeは巣ごもり娯楽の典型ブランド。同ブランドが6位に下がり、USJがトップの座についたことは意識の変化を象徴している。
「お出かけ」気分の盛り上がりという追い風は多くのブランドに吹いた。だが、それをしっかり捉えて大きく順位を上昇させたのは、コロナ禍でお客が集められなかったときも、コロナ後を見越した情報発信を続けていたブランドのようだ。
Powered by リゾーム?