2024年4月、トラック運転手に年間960時間という時間外労働の上限が新設される。ドライバーを大幅に増やさない限り、荷物を運びきれなくなる可能性が高まっている。人手に頼る業務をデジタル技術で効率化すべく、さまざまな企業が熱視線を送る。

2017年に表面化し、全国に混乱が広がった「宅配クライシス」。それを上回りかねない危機が物流業界を襲おうとしている。24年4月からトラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限される、いわゆる「2024年問題」だ。
宅配クライシスは、EC(電子商取引)の拡大で宅配個数が急増し、消費者へ届けるラストワンマイルの配送能力を超えてしまったことで起きた。これに対して2024年問題ではトラックドライバー全体が対象となり、上流の企業間物流にも影響が及ぶ。
トラック運転手24万人不足も
全日本トラック協会による会員企業に対する調査では、「時間外労働が960時間超の長距離ドライバーがいる」との回答は5割近くに達した。現状のままで時間外労働時間が制限されると荷物は運びきれなくなる可能性がある。ボストン・コンサルティング・グループは、27年に必要なトラックドライバー約96万人に対し、24万人が不足すると見る。
果たして解決策はあるのか。有力なのが、人手に頼る物流業界にDX(デジタルトランスフォーメーション)というメスを入れ、効率化を進める方法だ。ここに商機を見いだし、異業種が続々と物流向けのソリューション事業に参入している。
例えばOKIは、23年度に「コスト最小型ルート配送最適化AI(人工知能)」の提供を開始する予定だ。開発のきっかけは20年5月、大型トラック約400台で企業間物流を手掛けるロンコ・ジャパン(大阪市東成区)とビジネスマッチングサイトでつながりを持ったことだった。ロンコの現場に入り込んで課題を探す中で、トラックの積載効率が業界全体で4割程度にとどまっていることに着目。積載効率を上げれば、現状の人員や台数で荷物を運びきれるかもしれない。
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