セブン&アイ・ホールディングスのそごう・西武売却で、地方百貨店の存続が注視された。地場商圏の縮小に悩む地方百貨店は“奇策”ともいえる手を打ち、生存策を模索する。専門特化の「十貨店」か、広域連携の「千貨店」か。百貨店は、二極化の岐路に立つ。

 「ほぼ土下座のような姿で出店のお願いを続けた」──。

 徳島市の第三セクター「徳島都市開発」の鈴江祥宏社長は、悔しさをにじませながら語り始めた。2020年8月、徳島県は「百貨店ゼロ県」になった。県内唯一の百貨店だったそごう徳島店が再開発ビルから撤退したためだ。同施設を運営する徳島都市開発はキーテナントを失い、後継テナントを見つけられず悩んでいた。

 再開発ビルの運用に関する市民(約2800人)へのアンケートでは、約4割が百貨店を含む「商業施設」の入居を望んだ。市民の声を受けた徳島都市開発は百貨店の再誘致に取り組む。しかし、「採算の厳しい四国で、他社が失敗した施設には入れない」と、取り付く島もなく各社に断られた。

“拾う神”となった高松三越

 地方百貨店を取り巻く環境は年々厳しくなっている。日本百貨店協会によれば、1999年に140社311店舗あった百貨店は、2021年に73社189店まで減った。セブン&アイ・ホールディングスは11月、そごう・西武の売却を決めたが、傘下にいた16年で20店舗近くを手放している。

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 幸いなことに、徳島市には“拾う神”が現れた。四国で展開する三越伊勢丹ホールディングス(HD)傘下の「高松三越」だ。同社は高松市の本店以外にギフトなど厳選した商品を扱う小型のサテライト店を複数展開している。その一つを徳島市に出す形で22年4月、再開発ビルの2フロアに「三越徳島」をオープンした。

「三越徳島」はオンラインで外商顧客と東京の旗艦店をつなぐ(写真はデモ)(写真=松田 弘)
「三越徳島」はオンラインで外商顧客と東京の旗艦店をつなぐ(写真はデモ)(写真=松田 弘)
店舗にない商品はタブレットを介しECサイトで案内(左)。サテライト店のためシンボルのライオン像はない(右上)。内装は三越らしい調和が図られている(右下)(写真=松田 弘)
店舗にない商品はタブレットを介しECサイトで案内(左)。サテライト店のためシンボルのライオン像はない(右上)。内装は三越らしい調和が図られている(右下)(写真=松田 弘)