岸田文雄政権が、国民の資産所得倍増に本格的に取り組もうとしている。投資環境の整備とともに、学校での金融経済教育の導入が拡大しそうだ。金融機関の知見を生かした「官民連携」の動きは、どこまで広がるか。

2つのさいころの目の数の合計で、為替の「円高」「円安」を判断する。ゲームを通じて、為替の仕組みを学べるプログラムとなっている(写真=2点:都築 雅人)
2つのさいころの目の数の合計で、為替の「円高」「円安」を判断する。ゲームを通じて、為替の仕組みを学べるプログラムとなっている(写真=2点:都築 雅人)

 「この国の通貨が何か、みんな分かるかな?」

 講師が国旗を指し示すと、「ドル!」「ルピー!」と、会場から元気な声が次々と上がる。

 ここは東京・大手町の野村ホールディングス(HD)本社。夏休み真っ盛りの8月上旬、毎年恒例の小学生向けのイベント「まなぼう教室 世界のお金をまなぼう」が開催されていた。小学2~6年生の子どもたち約40人が、真剣なまなざしで講師の説明を聞いている。

 この日のメインテーマは「為替」。子どもたちは、国によって通貨は異なるものの、世界の国々とお金を交換する「為替レート」と呼ばれる仕組みが世の中にあることを学ぶ。そして為替レートは、世の中のさまざまな要因で日々変動するとの説明を聞いた。

ゲームで為替変動を体感

 いまいち理解できない表情の子どもたち。「ちょっと難しいよね。じゃあ、実際にゲームで遊びながら考えようか」。講師は2つの大きなさいころを取り出した。

 2つのさいころの目の数の合計で、為替の「円安」「円高」を判断し、なるべく安い値段で米国のお菓子会社からお菓子を仕入れるというゲームが始まる。

 さいころを振るのは10回。その間に3回、各自タイミングを見計らいながら、お菓子を仕入れ、それぞれいくらで仕入れたかをシートに書き込む。取引する際は、実際にお菓子の置かれているテーブルまで行き、駄菓子をもらうことができるのも、ささやかなお楽しみだ。

 為替レートが変わる中で、どこが取引のチャンスかを見極めるのがなかなか難しい。「さっきより円高になっちゃったよ」「あー、取りにいくの早すぎた」。この日は最終的に為替が1ドル=65円と、実世界ではあり得ない超円高になってしまった。

 慎重に様子を見極めていた子どもたちが、10回目のサイコロでここぞとばかりにテーブルに殺到し、講師や保護者たちが大笑いする場面も見られた。