改革開放を旗印に数十年にわたって右肩上がりで成長を遂げてきた中国経済に「ゼロ成長」の足音が忍び寄っている。中国国家統計局が発表した、22年4~6月期における物価の変動を調整した実質国内総生産(GDP)が前年同期比で0.4%増にとどまったのは記憶に新しいところだ。中国経済の中核都市である上海市が、新型コロナウイルスの感染拡大で約2カ月にわたって、事実上のロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、経済に急ブレーキがかかった。

 だが、上海のロックダウン解除から3カ月がたった現在も、中国経済は力強さを取り戻していない。7月の工業生産は前年同月比で3.8%増加したものの、伸びは6月の3.9%から鈍化。スーパーや百貨店、ネット通販を合計した小売売上高も2.7%増にとどまり、6月の3.1%増から0.4ポイント低下した。1~7月における工場などへの固定資産投資の伸び率も、1~6月から減少している。コロナ禍から3年目を迎え、習近平政権が進めてきた政策が中国経済に暗い影を落とし始めている。

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