新型コロナウイルスの感染拡大は新卒採用の現場に大きな影響を与えた。オンライン面接が一般化したことで、企業と学生は双方とも距離感を測りかねている。定番の質問となっている「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」も限界を迎えている。

4月1日の東京・西新宿。3年ぶりの景色が、そこにあった。

損害保険ジャパンは、2020年は中止、21年はオンライン開催にしていた入社式を対面で開いた。リクルートスーツに身を包んだ新人182人が一堂にそろうのは壮観で、会場は華やいだムードにあふれていたが、マスク姿がコロナ禍を境にした不可逆な変化を改めて印象づけもした。
コロナ禍をきっかけにして、暮らしや仕事のオンラインへの移行は一気に進んだ。家族や同僚、同世代の友人といったバックグラウンドを共有する関係であれば問題ないが、オンラインベースで新たな関係を築いて維持するのは容易ではない。

大幅に減ったクラブ・ゼミ活動
クラブ・サークルやゼミの活動を通じて刺激を受け、社会人へと人生のフェーズを移そうとしている就活生にとって、コロナ禍の影響がとりわけ大きかったであろうことは想像に難くない。日経ビジネスではこのたび、履修データセンター(東京・港)と共同で、首都圏の大学に通う23年卒生にアンケートを実施した。
約1000人の回答から明らかになったのはまず、学生生活の大きな変化だ。23年卒生の場合、大学2年に進級した4月に政府が緊急事態宣言を発令し、本格的なコロナ禍に突入した。1年生のときとその後を比べて、クラブ・サークル活動については62%、ゼミ活動については44%が、活動時間が「大きく減った」「どちらかというと減った」と答えている。
海外渡航が大きく制限され、留学を断念せざるを得なかった学生が多かったこともアンケート結果から浮き彫りになった。一方で、日常の授業については変化が少ない。クラブ・サークルの発表会や大会、ゼミのフィールドワークなどが感染拡大防止を理由に取りやめになる中で、相対的に学業の比重が高まったことがうかがえる。
「法律や政策を勉強するサークルに入っていたが、対面での発表ができなくなり、やり取りは希薄になった。その分は自己研さんに充てるしかないと考えた」──。こう話すのはアンケートに答えた慶応義塾大学商学部の男子学生だ。
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