この記事は日経ビジネス電子版に『動き出した東証再編(上)(下)』(4月26日、27日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月2日・9日号に掲載するものです。

東京証券取引所の改革で4月、旧4市場は3市場に再編された。新たな上場基準に達していない企業は、上場維持へ改革を迫られている。投資家の関心は低く、売買金額もごく少ない低成長企業群は変われるか。

 金沢市に倉庫精練という会社がある。繊維産業の産地、北陸で染色加工を本業とし、1962年8月に当時の大阪証券取引所2部に、その後東京証券取引所2部にも上場した老舗企業である。

スタンダード市場に横滑りした倉庫精練は11期連続の営業赤字だが、新規事業の拡大による立て直しへ一歩を踏み出した(金沢市の本社)(写真=山岸 政仁)
スタンダード市場に横滑りした倉庫精練は11期連続の営業赤字だが、新規事業の拡大による立て直しへ一歩を踏み出した(金沢市の本社)(写真=山岸 政仁)

 2022年3月期は連結売上高が22億5000万円で、営業損益は2億8000万円の赤字予想となっている。実はこれで12年3月期から11期連続の営業赤字となる。売上高は11年3月期のほぼ3分の1の水準だ。17年春には地元の合成繊維大手、丸井織物の傘下に入るなど、経営的には極めて厳しい状況にある。しかし今年4月の東証の市場再編では、スタンダード市場(旧2部に実質的に相当)へそのまま横滑りした。

注:データはプライム市場などの上場基準である流通株式時価総額ではない 出所:SMBC日興証券のデータを基に本誌作成
注:データはプライム市場などの上場基準である流通株式時価総額ではない 出所:SMBC日興証券のデータを基に本誌作成

 4月にスタートした東証の市場改革。東証1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場を実質最上位のプライム、中堅企業のスタンダード、新興成長企業のグロースに再編した。狙いは、プライムであれば世界の投資家が資金を投じたいと思う成長力やガバナンス(企業統治)体制を持つ優良企業の市場とすることだ。

注:上場企業数は各年3月末時点、売買代金は各年の3月の1日当たり平均額 出所:SMBC日興証券の資料を基に本誌作成(写真=毎日新聞社/アフロ)
注:上場企業数は各年3月末時点、売買代金は各年の3月の1日当たり平均額 出所:SMBC日興証券の資料を基に本誌作成(写真=毎日新聞社/アフロ)
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 だが、日本の株式市場が長年抱えてきた課題を解消するのは容易ではない。上のグラフは、旧東証1部の00年以降の1日当たり平均売買代金(3月分の平均)が1億円未満の企業数と上場企業数の推移を見たものだ。

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