この記事は日経ビジネス電子版に『プーチンも変えられず ロシア「資源一本足経済」のもろさ』(4月6日)として配信した記事を雑誌『日経ビジネス』4月11日号に掲載するものです。

ウクライナ侵攻の先行きは、ロシアへの経済制裁の効果にかかっている。デフォルトや通貨ルーブルの暴落に加え、原油の需要縮小など危機が迫る。旧ソ連崩壊以後、資源一本足経済を脱却できなかった結果でもある。

ウクライナ侵攻で世界を震撼(しんかん)させたウラジーミル・プーチン大統領(左)と、ロシアの中核産業である天然ガスのパイプライン(右上)と油田(右下)(写真=左:ロイター/アフロ、右2点:Bloomberg / Getty Images)
ウクライナ侵攻で世界を震撼(しんかん)させたウラジーミル・プーチン大統領(左)と、ロシアの中核産業である天然ガスのパイプライン(右上)と油田(右下)(写真=左:ロイター/アフロ、右2点:Bloomberg / Getty Images)

 「3月に入るとすぐに輸入が止まり、他国から調達するにも価格が昨年末の4倍にも跳ね上がって……」

 電子部品メーカー、ニチコンの岸義和・生産統括部長は2月末から頭を悩ませ続けている。ロシアのウクライナ侵攻で、主力製品の一つであるアルミ電解コンデンサーの生産過程で使うホウ酸のロシアからの輸入がストップしてしまったからだ。

 ロシアは、米国、トルコと並んで世界のホウ酸の大生産地。ニチコンは10年前から全量をロシアから輸入している。「2月24日の侵攻の一報を聞いた時から『これは危ない』と思ったのだけど」と岸部長は苦しそうな表情をのぞかせる。

 当面は数カ月分ある在庫でしのげるが、米国など他国からの輸入に切り替えるには時間がかかるだろうと予想する。「調達がうまくいってもコストの大幅増は避けられない。そうなれば、次は価格転嫁に苦労することになる」(岸部長)と嘆く。

韓国に次ぐGDP世界11位

 世界を震撼(しんかん)させたウクライナ侵攻から約1カ月半。世界の目は戦況と共にロシア経済の動向に注がれている。西側の厳しい経済制裁でロシア経済が疲弊すれば、国民の反発と共に戦争維持が困難になる可能性がある。ただそれは世界経済に返り血を浴びせることになる。ニチコンの例はその一コマにすぎない。耐久力競争の様相も帯びているのだ。