この記事は日経ビジネス電子版に『ウクライナ危機の余波、東南アジアに 物流・生産の混乱収まらず』(3月15日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』3月21日号に掲載するものです。

コロナ禍が東南アジアにもたらした物流の混乱や原料高に収束の兆しが見えてこない。ウクライナ危機の余波が追い打ちをかけ、低コストでの生産に試練が訪れている。日系製造業はサプライチェーンをどう組み替えていくべきか。現場を追った。

三菱自動車のタイ・レムチャバン工場。新型コロナ対策を徹底して乗り切った
三菱自動車のタイ・レムチャバン工場。新型コロナ対策を徹底して乗り切った

 「これからどんな影響が出るのか。混乱は収まらないかもしれない」

 2月末、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースを見ながら、タイに拠点を置く日系自動車部品メーカーの幹部はため息交じりにつぶやいた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機に物流コストは上昇し、原材料価格も高騰している。このメーカーのタイ拠点は自社だけではコスト上昇分を吸収しきれなくなり、取引先に価格転嫁を求め始めていた。その矢先にウクライナ危機は起きた。

 「物流網の混乱は間違いなく続くだろう」。タイの大手フォワーダー、HPSトレードの飯野慎哉CEO(最高経営責任者)は指摘する。

 新型コロナの感染拡大や欧米の需要急回復を受け物流網は目詰まりを起こしており、海上運賃は一昨年から高止まりしている。これを避けようと、最近では中国から欧州への物流でシベリア鉄道を活用する動きが活発化していた。

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