この記事は日経ビジネス電子版に『 内部文書が示す山口FGトップ解任の内幕 取締役会で何が起きたか』(2月22日)として配信した記事などを再編集して雑誌『日経ビジネス』2月28日号に掲載するものです。
2021年6月、山口フィナンシャルグループ(FG)のCEOだった吉村猛氏が解任された。新銀行設立を「独断で進めた」とする取締役側に、「CEOの権限だ」と反論する吉村氏。日経ビジネスが入手した内部文書から、解任当日の取締役会のやり取りを詳報する。

「定款第24条第2項及び取締役会規則第8条により、議長を務めます」
2021年6月25日午後。山口フィナンシャルグループ(FG)の吉村猛・取締役(当時)がこう宣言し、臨時取締役会が始まった。社内3人、社外7人の全10人が顔をそろえた。
吉村氏:代表取締役、取締役会長の件を上程いたします。議長としては、代表取締役には私吉村猛が就任させていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。ご承認いただける方は挙手をお願いします……。反対ということでよろしいでしょうか……。分かりました。
それでは代表取締役、取締役社長に椋梨敬介氏にご就任いただきたいと考えますが、いかがでしょうか……。はい、全員賛成でございます。それでは椋梨氏の代表取締役社長が決議されましたので、議長を交代します。

決議項目を40項目付議
椋梨氏:代表取締役社長としてご承認を頂きました。ありがとうございました。
16年に代表取締役に就任した吉村氏の再任は会議冒頭、あっけなく否決された。その後、取締役会規則及び決裁権限基準の見直し検討開始について議論された。A社外取締役が「今日の会議に決議項目が40項目も出ている。誰の判断か?」と投げかけると、吉村氏が説明した。
吉村氏:私の判断です。(アイフルとの共同銀行設立計画に関する取締役会への付議が)当たり前なことだというご判断を取締役会で頂いたので、全てかけました。(新銀行設立への進め方について)私は、CEO(最高経営責任者)の決裁権限基準に沿ってルール通りにやらせていただいていました。それなのに、なぜ計画を決めたのかという話になりましたので。ルールを全部無視して、対応せざるを得なかったということです。
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