足りないデジタル人材

 スマート農業に取り組む上で、クボタにとって大きな懸案がデジタル人材の確保だ。辻村部長は「人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)というこれまであまり得意でなかった技術が求められている」と話す。

 近年は技術系人材のキャリア採用に積極的で、20年には116人を採用した。シャープなど電機業界からの転身組が多い。技術系の新卒採用でも、従来は圧倒的に機械専攻が多かったが、電気・電子や情報専攻の学生の採用に力を入れる。13年度には両専攻合わせて11人だったが、22年度には35人が入社する予定だ。

 人事・総務本部長を務める木村一尋専務執行役員によると、それでも人材確保は綱渡りだ。「会社全体が成長していることもあり、絶対的に足りない」。マンパワー不足が技術開発のボトルネックになりかねない。

 新規就農者はもちろん、経験のないパートにその日限りで作業してもらうためにも、機器の使いやすさなどの面でひと工夫もふた工夫も必要だ。いずれは、日本の後を追いかけて農業のスマート化が求められるであろう、東南アジアなど海外市場向けの技術開発も課題になる。

 それには人の力が欠かせない。国内農業の衰退とのスピード勝負に打ち勝って、農業の未来を切り開くことができるか。市場で圧倒的な存在感を放つガリバー企業は大きな責任を背負っている。

日経ビジネス2021年11月29日号 36~41ページより目次

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