この記事は日経ビジネス電子版の連載『東南アジアの現場を歩く』で配信したシリーズ『東南アジアEV攻防戦』の記事などを再編集して雑誌『日経ビジネス』10月18日号に掲載するものです。

日本メーカーが市場シェア8割を握る「日本車王国」の東南アジアで異変が起きている。電気自動車(EV)を突破口にして反撃しようと中国や韓国などの企業がうごめき始めた。足元の需要に応えながら将来も勝ち続けるための戦略が日本勢に求められている。

<span class="fontBold">中国・上海汽車がタイで展開するEV「MG EP」。100万バーツを切る価格で注目を集めた</span>
中国・上海汽車がタイで展開するEV「MG EP」。100万バーツを切る価格で注目を集めた

 「想像していたよりずっと安い」。9月下旬、タイ・バンコクにある自動車販売店で、会社員のタイ人女性は驚いた。販売員から説明を受けていたのは中国自動車大手、上海汽車が「MG」のブランドで展開する電気自動車(EV)「MG EP」だ。

 値段は98万8000バーツ(約325万円)と、先行する日産自動車のEV「リーフ」の定価の半分程度。タイで人気のガソリン車、ホンダの「シビック」とほぼ同じ価格帯だ。

 フル充電にかかる電気代は200バーツ(約650円)程度で、「(1km当たりの)コストはガソリン車の4分の1。フル充電なら380km走れる」と販売員はセールスに熱を込める。

 問題は充電インフラだ。タイ電気自動車協会(EVAT)によれば、タイ国内にある充電スタンドの数は約2300カ所。日本の1割ほどしかない。それでも冒頭のタイ人女性は「バンコク都内を走り回れれば十分」と意に介する様子はなかった。

 いち早く低価格なEVを投入した上海汽車は、足元のタイにおけるEV市場をほぼ独占している。タイ陸運局によれば、8月末の段階で車両登録されているEV(2輪、3輪、バスなどを除く)は約3400台。その8割以上をMG EPを含むMGブランドのEVが占めているとみられる。

続きを読む 2/5 次々押し寄せる中国メーカー

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