この記事は日経ビジネス電子版に『ワークマン土屋氏、オイシックス奥谷氏が語る若手時代の10の挑戦』(8月16日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』9月6日号に掲載するものです。

ビジネスパーソンが成長するために、若手時代にどんな挑戦をしておくべきか。ワークマンの土屋氏とオイシックスの奥谷氏が、自身の経験を赤裸々に語った。共通点は「個としての強さ」を磨くことにあった。(7月6日開催の日経ビジネスLIVEを再構成した)

ワークマン専務取締役
土屋 哲雄
三井物産入社後、三井物産デジタル社長に就任。三井情報取締役を経てワークマンに入社後は、プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「データ経営」を持ち込んで社内を改革。一般客向けに企画したアウトドアウエア新業態店「ワークマンプラス」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞を受賞。(写真=堀 哲平)
オイシックス・ラ・大地専門役員COCO
顧客時間共同CEO取締役
奥谷 孝司
1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。2010年WEB事業部長。「MUJI passport」をプロデュース。15年10月オイシックス(当時)入社。18年9月大広との共同出資会社顧客時間を設立し、共同CEO取締役に就任。

土屋さんが考える「若手時代にやっておくべき10の挑戦」について、ご自身の経験を交えて教えてください。

土屋哲雄・ワークマン専務取締役(以下、土屋氏):私は「すること」だけでなく、それとは裏表の関係にある「しないこと」も挙げました。

 ワークマンは作業服の個人向け販売で40年間、業界トップを維持しています。私は、三井物産などを経て2012年に入社したんですが、既に8割ほどの市場シェアを獲得していたため、18年に「ワークマンプラス」という新業態をつくりました。作業服を「機能性ウエア」として一般客向けに売り始めたんです。これがヒットしました。

<span class="fontBold">アウトドアウエア新業態店「ワークマンプラス」ららぽーと立川立飛店</span>
アウトドアウエア新業態店「ワークマンプラス」ららぽーと立川立飛店

 こうしたワークマンの強さは、「しない」ことを明確にする経営スタイルにあります。残業しない、ノルマを課さない、期限を設けない、社内行事をしない、接客しない、値引きしない、顧客管理をしない、取引先を変えない……。社員の「ストレス」になること、価値を生まない「ムダ」なこと、ワークマン「らしくない」ことは一切しない方針です。この経営スタイルで100年勝ち続けることを目指しています。

2000時間頑張ってみる

 本題の「若手時代にやっておくべき10の挑戦」について、まずは「すること」から。第1は「今の仕事に集中してプロになる」です。実際のところはこの1つで十分です。誰でも1つのことを2000時間やり続ければ人前で講演できるレベルになります。とにかく、フラフラせずに2000時間頑張ってみてください。人事にいるなら人事のプロに、総務にいるなら総務のプロに、法務にいるなら法務のプロになるのです。大きな書店で棚にある本を全部買ってきて読めば、だいたいプロになれます。自分のやりたい仕事に熱中しようとするのではなく、今の仕事に熱中しましょう。

 第2は「1次情報に接する」です。人の聞きかじりにならないように英語でも中国語でもいいので原書で読んでください。第3は「自分よりも頭の良い人と付き合う」こと。同質的な人とばかり付き合うのはよくないです。同じ仲間と月1回会うのではなく、毎月違う人、知らない人と会いましょう。第4は「人と議論をして良さを吸い上げる」ことです。頭の良い人、気付きのある人、集中してプロになった人などから良さを吸い上げてください。そして第5に「興味のあることを極める」ことです。仕事以外でも構いません。

 続いて「しないこと」です。これらは「すること」の裏バージョンでもあります。第1は「もっと自分に適した仕事があると思わない」ことです。今の仕事に集中し、極めましょう。第2は「聞きかじりをしない」こと。何事もきちんと自分で調べるのが大事です。

 第3は「同じような人同士で群れない」。社内のコミュニケーションは、全部“群れ”を単位に行われます。だからワークマンでは社内行事はしません。第4は「自分で考え過ぎない」。人から刺激を受けることです。第5は「遠回りをしても焦らない」。若い人にとって、時間は味方になります。

今の仕事で「プロ」を目指す
●土屋氏の「若手時代にやるべき10のこと」
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 100年の競争優位を生み出すのに突出した人は不要です。凡人でいい。といっても、ある特定分野に特化して、そこについては何でも知っているようになることが重要です。データに強い、総務に強い、人事に強い、営業に強い……。強いものを持っている人が集まれば、100年競争優位を築くことができます。凡人ができる経営こそ、100年続くと思っています。

続きを読む 2/3 自分に絶望し謙虚になる

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