この記事は日経ビジネス電子版に『週休3日制の光と影』として配信した連載を再編集して雑誌『日経ビジネス』8月16日号に掲載するものです。

働き方改革の観点から「選択的週休3日制」の導入機運が高まっている。政府は「2021年骨太の方針」に盛り込み、大手を中心に制度を整える企業が相次ぐ。労働生産性が低く、学び直しが進まない日本の現状を変えるきっかけになるか。

(写真=北山 宏一)
(写真=北山 宏一)
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 SOMPOひまわり生命保険で働く武田有可さん(36)の月曜日は、一般社員と少々異なる。

 7月上旬の月曜日。2歳の娘を保育園に預けて帰宅した武田さんは、午前9時から「夕食」の支度に取りかかった。コンロを占拠した寸胴鍋にタマネギとニンジンなどを放り込み、家族4人が火曜日以降に食べる野菜スープを作るのだ。「よしっ、これで残り4日は何とかなる」。武田さんは笑顔でつぶやく。

 昼食後は資格取得に向けた勉強時間だ。武田さんは内部監査部に所属し、適切な支払いの仕方など生命保険に関する多様な知識が欠かせない。フルタイムで働く同僚から後れを取らないよう「生命保険支払専門士」の取得を目指している。今年3月にはコンプライアンスに関連する資格も取得した。

 武田さんにとって毎週月曜日は休日だ。第2子の出産による産休、育休を経て仕事に復帰した2020年9月から週休3日で働いている。SOMPOひまわり生命が17年9月に導入した制度を利用する社員の一人だ。

<span class="fontBold">自民党一億総活躍推進本部が発案した選択的週休3日制。政府は6月、「2021年骨太の方針」に盛り込んだ</span>(写真=スタジオキャスパー)
自民党一億総活躍推進本部が発案した選択的週休3日制。政府は6月、「2021年骨太の方針」に盛り込んだ(写真=スタジオキャスパー)

 希望者が週3日休めるようにする「選択的週休3日制」の導入機運が高まっている。政府は6月に閣議決定した「2021年骨太の方針」に盛り込み、制度を整える企業も増えてきた。働き方改革を加速して、育児・介護との両立などを進めるのが狙いだ。

 発案者である自民党一億総活躍推進本部長の猪口邦子参院議員は「もう一日の休日の使い方は人それぞれ。働きやすくなれば離職率は下がり、兼業・副業をすれば修練の場も増える」と話す。

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