この記事は日経ビジネス電子版に『進化する道の駅(1)「無印良品」も進出、全住民避難からの再生』(7月6日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』7月12日号に掲載するものです。

農産物の直売所などがある道の駅に企業が進出する事例が相次いでいる。福島県浪江町では無印良品が出店、マリオットのホテルがある道の駅も。地元客も遠方からの客も呼び込む道の駅は地方でのビジネスの拠点になるか。

 雨が降ったりやんだりのすっきりしない天気にもかかわらず、昼時とあってその施設はにぎわっていた。6月下旬のとある平日の福島県浪江町。道の駅なみえにはバンで乗り付けた作業服姿の男性たちや、中高年の女性グループ、向かいに見える役場の職員とおぼしき人たちの姿があった。

 東日本大震災から10年がたった節目の今年3月に道の駅なみえは正式オープンした。東京電力福島第1原発事故で全住民が避難を強いられた浪江町の今後の復興拠点だ。飲食店に直売所、地元の焼き物の体験コーナーのほか、津波で酒蔵を流されるも山形県長井市で醸造を続けた鈴木酒造店が蔵を開き、搾りたての日本酒が飲めるのも目玉だが、えんじ色に白抜きの「無印良品」の4文字が書かれたのぼりが目を引く。

<span class="fontBold">道の駅なみえには無印良品が出店。黒板に付箋を貼って来店客とコミュニケーションを取っている</span>(写真=3点:竹井 俊)
道の駅なみえには無印良品が出店。黒板に付箋を貼って来店客とコミュニケーションを取っている(写真=3点:竹井 俊)
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 道の駅なみえには良品計画が運営する雑貨店、無印良品が出店している。道の駅に無印良品が出るのはこれが初めてのことだ。さらに言えば、ここまで小さな商圏に店を構えるのも初となる。これまで地方での出店は、県庁所在地か、その次の規模の中核都市まで。震災前には人口約2万1500人を数えた浪江町だが、現在、避難先から戻って暮らすのは約1600人にとどまる。

 近隣で一番大きな自治体である南相馬市でも人口5万2000人程度で、良品計画ソーシャルグッド事業部長の生明弘好執行役員によれば、「商圏人口は恐らく周辺をかき集めても10万人に満たない」。過去に例のない小商圏に進出したのはいかなる算段からなのか。

 道の駅なみえには約50坪のテナントスペースがあり、当初はコンビニエンスストアを入れる考えだった。しかし、復興が進むにつれ、周辺に複数のコンビニが出店。それならばと、ドラッグストアに打診をしたが、商圏の小ささを理由に断られた。正式開業に先だつプレオープンが迫り、担当者らが途方に暮れる中で、良品計画が一肌脱いだ。

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