INTERVIEW 
平石郁生Infarm Japan社長に聞く
2m2でいい、農業の新たな基盤をつくる

 人工光での野菜の栽培では、自然災害リスクを考えると、田舎に大型の植物工場を建てて安定供給するという従来のビジネスモデルにも意味はあります。ただどうして我々がそれをやらないのかというと、結局は露地でつくるか、工場でつくるかという違いで、都会に運ばなければいけないからです。

 野菜はつくられてから我々の口に入るまでに最低3割が廃棄ロスになるといわれています。少しでも輸送距離を短くしエネルギー消費を削減したい。

 国連は2018年現在で地球上の人口の半分以上が都会に住み、50年になると68%になると予測しています。住んでいる人が多い都会でつくって、都会で消費するのが、最も究極的な地産地消になる。

 しかし、残念ながら都会には十分な広さの土や畑はない。でも皆さん、スーパーマーケットに行って、野菜を買いますよね。それならば、その店舗内にLED水耕栽培のミニチュアの畑を置かせてもらえばいいのではないか。要するに1カ所にまとめようとするから、大規模な土地が必要となり、都会では無理なので、田舎で栽培しようということになる。2m2ずつでいいんです。それを都市の中に分散させれば、自給自足の新しい農業プラットフォームをつくることができるのではないでしょうか。

 インターネット黎明(れいめい)期にいつでもどこでもつながるユビキタスという言葉がはやりました。インファームがやろうとしていることは「ユビキタスファーミング」です。我々は野菜工場といわれるのが嫌いです。野菜工場ではなく次世代都市型の新しいユビキタスファーミングのプラットフォームをつくっているのです。

 インファームのファウンダー(創業者)たちは日本市場に強く期待しています。まずは顧客基盤を広げ、ある程度の生産量を出せるようにしたい。そうすれば世界の中で、日本にかける研究開発の優先順位は高まるはずです。私の仕事は、それを高めてもらえるように、日本で実績を出すことだと考えています。(談)

日経ビジネス2021年7月5日号 44~48ページより目次

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