銀行、証券、保険などを一体で提供できる「金融サービス仲介業」が今秋にも誕生する。「縦割り」が前提だった金融商品の売り方が一変し、異業種からの参入も予想される。金融とITが融合するフィンテックの発達で、さまざまなサービスが誕生しそうだ。

(写真=Shutterstock)
(写真=Shutterstock)

 オンライン専業のライフネット生命保険は2021年5月、金融スタートアップのMILIZE(ミライズ、東京・港)と共同で新会社「ライフネットみらい」を設立した。金融サービスの主戦場が今後オンラインに移行するであろうと考え、7月にオンラインを軸とした保険の乗り合い代理店を開業する予定だ。

 現在の保険乗り合い代理店は、対面営業のものが主流だ。新会社では「betterChoice(ベターチョイス)」というウェブサイトを立ち上げ、オンライン上でライフネット生命以外の複数の保険会社の商品を比較・販売できるようにする。保険の見直し提案や保険契約の管理、保険金請求のサポートも手掛ける予定だ。

 この新会社は、これまでの金融業界の競争のあり方を大きく変える可能性を秘める新制度を計算に入れている。

 「金融サービス仲介業」──。ウェブ上のサービスを念頭に、銀行、証券、保険のそれぞれのサービスを横断して仲介できる新たな免許がそれだ。20年6月に金融商品販売法が「金融サービスの提供に関する法律」に改正されたことに伴い、創設された。法律は21年秋にも施行される見込みだ。これまでは業態別に提供されていた金融サービスが横断的に提供できるようになり、ワンストップのサービスが生まれることが予想される。

金融サービス仲介業のイメージ
<span class="fontSizeL">金融サービス仲介業のイメージ</span>
出所:金融庁の資料から作成
[画像のクリックで拡大表示]

 仲介業者の「所属制」がなくなるのもこれまでとの違いだ。既存の仲介業者は、販売を受託する特定の金融機関から勧誘や説明方法について指導を受けているが、金融サービス仲介業は所属が求められない。複数の金融機関との提携が容易となり、仲介業者のビジネスの自由度は高くなる。より公平な視点で金融商品を薦めることができるようになり、顧客視点に立った商品販売ができるようになる。

 新会社を設立したライフネット生命の近藤良祐取締役は「将来的には金融サービス仲介業のライセンスを取得し、オンライン保険乗り合い代理店のプラットフォーム上で投資信託などの運用商品を販売することも視野に入れている」と語る。

次ページ 縦割りが縛っていた仲介業者