企業の現場の担当者がデジタルトランスフォーメーション(DX)の主役になり始めた。専門的な知識がなくてもソフトをつくれる「ノーコード」ツールの進化が支えとなる。身近な部分から小さく始める「身の丈DX」が企業に広がる。

ふくやでは、プログラミング経験のない社員が専用アプリを開発・運用している(左)。ふくやが採用したヤプリのサービスでは、コードを書かずにマウス操作だけで開発できる(右)

 1948年の創業以来、めんたいこの文化を根付かせたことで知られるめんたいこ製造大手のふくや(福岡市)。新型コロナウイルスの感染拡大が引き起こした行動変容は、この老舗企業の経営にも逆風となった。

 コロナ禍前は国内や海外からの観光客も、出張で訪れるビジネスパーソンも多かった福岡市。ふくやのめんたいこは定番のお土産として好評だった。ところが、コロナ禍で訪日観光客はほぼゼロになり、出張者も激減。2020年度のふくやの直営店での売り上げは前年度から3割近く減ってしまった。

 そんな厳しい経営環境の中、明るい兆しが見えた。ふくや独自のスマホアプリが寄与し、EC(電子商取引)の売り上げが3割ほど増えたのだ。アプリでの購入はウェブサイトからに比べて平均購入価格が1000円ほど高く、年齢層も若い。

 アプリを開いた利用者が実際に購入する割合(成約率)はウェブサイトの約3倍という高さだった。「アプリのおかげで、店舗やウェブサイトではカバーできない需要を掘り起こせた」。アプリの運用を担当する入社5年目の若手、営業第2部ネット通販課の本田祥久氏はこう分析する。

 このアプリ、実はふくやの社員が自ら開発したものだ。18年10月に公開し、ダウンロード数は足元で約3万に達する。

続きを読む 2/4 経験ないのに自社開発を選択

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