この記事は日経ビジネス電子版に『「車を売らない」店も 全車種併売のトヨタディーラーが探る新境地』(2月8日)として配信した記事などを再編集して雑誌『日経ビジネス』2月15日号に掲載するものです。

国内市場の縮小により、全国に約1万5000ある自動車販売店が岐路に立っている。トヨタ系では2020年から全車種の併売化が始まり、チャネル間競争が本格化。地域振興や災害支援など「売る」以外の価値で存在意義を示す必要に迫られている。

 石畳の広場に半円のアーチ窓。欧州の駅舎をほうふつさせる建物で、結婚式が行われた。式の終わり、新郎新婦が自慢の愛車に乗って後にしたその場所は、地元の自動車販売店だ。

ネッツトヨタ富山本店で開かれた結婚式

 ネッツトヨタ富山(富山市)は2009年に本店をリニューアルした。店舗中央に広場を設けたユニークなデザイン。それに合わせ、店舗内のスペースや敷地を地域住民に無償で貸し出す取り組みを始めた。町内会のお祭りや小学生のフットサル大会など用途は様々。ペットの里親探しをする団体が保護犬や保護猫の譲渡会を開催したこともある。緊急事態宣言下では、地元飲食店がテークアウト商品を販売できるスペースとして駐車場を提供した。

保護犬・保護猫の譲渡会(写真上)。同店の外観(写真下)

 こうしたイベントは新車の販促目的ではなく、地域住民主体の催しだ。口コミで評判が広がり、まるで公民館のような役割を担うようになった。

 自動車販売店が地域貢献に注力するのは、生き残り競争が厳しさを増しているからだ。ネッツトヨタ富山の新車販売台数は1990年のピーク時から約2割減少したという。中古車事業の拡大などで業績は維持しているが、今後も自動車需要の減少は避けられないうえ、富山県にはトヨタ系販売会社が3社ある。「地域に必要とされる存在になることが販売店存続の生命線」(笹山泰治社長)との思いがある。

続きを読む 2/5 小規模販売店に淘汰の波

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