この記事は日経ビジネス電子版に『芽吹くフェムテック市場』(1月15日~1月27日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』2月8日号に掲載するものです。

生理前のイライラに腹部の痛み、更年期障害で感じる目まいや体のほてり……。女性の悩みや健康面の不安をやわらげる「フェムテック」の分野が盛り上がっている。企業の福利厚生にも関係してくる新たな製品・サービスの最前線を追う。

Femtech(=Female×Technology)とは

現代のライフスタイルと価値観で再設計した製品群

・スマホやデジタル前提のライフスタイル
・女性が長く働くことが当たり前
・社会や企業、個人の多様性の尊重

出所:デロイトトーマツベンチャーサポート

(写真=PIXTA)

 「夫に対しても、そして生活にも心に余裕ができた」──。

 こう話すのは、スマートフォンアプリ「ルナルナ」を使う妊活中の会社員の女性(33)だ。ダウンロード数が1600万を超えるルナルナは、生理が始まった日と終了日、基礎体温などのデータから月に1度の排卵日と、妊娠確率の高い5日間を予測する。

 排卵日の予測といえば、1924年に荻野久作医師によって考えられた「オギノ式」がよく使われている。ただ生理周期には個人差があり100年前と今では食生活や生活リズムも異なるため、実際の排卵日とずれることも少なくない。

 「ルナルナ」を運営するエムティーアイでは、20~45歳までの妊娠を希望する15万人のうち排卵日を特定できた7043人を抽出。月経周期と排卵時期の相関関係を分析し、排卵日や妊娠の確率の高い5日間を予測するロジックを発見した。

アプリ「ルナルナ」上では生理の予定だけではなく、妊娠の可能性が高い期間などを表示する

 同社でルナルナの事業を担当する那須理紗氏は「オギノ式と比べ妊娠確率が上がったというデータもある。生理痛やつわり、妊活などは人により悩みや事情が異なる。男性だけでなく女性同士でも理解を深めるきっかけになれば」と話す。

 エムティーアイは東京医科歯科大学、国立成育医療研究センターなどと協力し、31万人の女性の生理周期のデータを活用した共同研究を開始。2020年9月には、生理周期が年齢によって変化するとの研究成果を発表した。23歳で平均30.7日、45歳で最も短い27.3日となり、以降は再び生理周期が長くなるというものだ。

 現在の生理周期や年齢による変化は1950年代の研究結果を基にしており、70年近く続いてきた常識が変わる可能性もある。研究データを生かすことで、生理周期のずれに悩む女性の不安を取り除いたり、適切なタイミングでの医療受診につながったりするのではないかと、研究チームは見ている。

続きを読む 2/5 経済負担は年間7000億円

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り5003文字 / 全文6500文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「SPECIAL REPORT」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。