規制緩和が市場拡大の鍵

 国内でドローンビジネスが本格的に花開くのは、22年度からになりそうだ。国はドローンの飛行方法を大まかに、目視内の遠隔操縦(レベル1)、目視内の自動操縦(レベル2)、無人地帯(山間部や海など)での目視外飛行(レベル3)、有人地帯での目視外飛行(レベル4)の4段階に分類している。現在は、レベル1と2、そして運航の仕方などについて個別審査を受けて許可・承認を得れば、レベル3の運用ができる。今後制度整備を進め、22年度以降にレベル4を認める方向だ。人が往来する場所で遠隔操縦が不要の自律飛行が認められれば、ドローンの運用が劇的に効率化でき、活用範囲が一気に広がる。

<span class="fontBold">テラドローンはインドネシアで石油パイプラインの監視業務を受注。長距離を飛べる固定翼型の機体で不審な車両や人物を見つけ石油盗難などを防ぐ</span>
テラドローンはインドネシアで石油パイプラインの監視業務を受注。長距離を飛べる固定翼型の機体で不審な車両や人物を見つけ石油盗難などを防ぐ

 ドローンのニーズは世界中に広がる。ドローンを用いたサービス「ドローン・アズ・ア・サービス(DaaS)」の世界的企業として知られるテラドローン(東京・渋谷)は、規制が比較的緩いインドネシアで同国初の目視外飛行の許可を得て、19年に石油メジャーの米シェブロンの現地法人と契約。数百kmに及ぶパイプラインを上空から撮影し、石油盗難などを監視している。スロベニアのグループ会社が開発した3時間航行可能な固定翼型の機体を使用。30km離れた地点の動画と座標を即時確認できる。

 保安上の要求の厳しい石油メジャーと成約した意義は大きいと、新規事業開発部の永井悠平氏は語る。「技術内容や経営状況をまとめた数百ページに及ぶ資料を提出し、半年間の監査を経て成約した。他の石油メジャーを含む世界各地のインフラに事業展開できる可能性がある」

テラドローンは点検市場を深掘りする
テラドローンは点検市場を深掘りする
石油タンクの壁圧を超音波で測り、劣化した箇所を特定できる
火力発電所の巨大な煙突内の点検も、大幅に効率化
火力発電所の巨大な煙突内の点検も、大幅に効率化
赤外線カメラで太陽光パネルを撮影すると熱を持つ劣化部位が一目で分かる
赤外線カメラで太陽光パネルを撮影すると熱を持つ劣化部位が一目で分かる

 テラドローンは、電動二輪ベンチャー、テラモーターズ創業者の徳重徹社長が16年に設立。世界のドローンベンチャー6社に資本参加し、事業領域を急拡大してきた。例えば、石油などを貯蔵するタンクの壁の厚さを超音波を用いて0.1mm単位で計測できるドローン技術を持つオランダ企業に出資。今年、世界最大のタンク会社、オランダのヴォパックからタンクの点検業務を受注した。巨大なタンクを人力で点検したり、高い所まで足場を組んだりする時間と費用が削減できる。

 テラドローンの21年1月期の売上高は約20億円の見通しで、ドローン市場が本格的に立ち上がる数年後には150億円の突破を見込む。インフラ点検だけでも国内で5兆円、海外で200兆円の市場があるとされる。国内では高齢化で高所作業や点検などの専門技能を持つ人が減り、海外でも途上国などで社会インフラの整備が急ピッチで進むなど「巨大な伸びしろがある」(永井氏)。

 もっとも、規制や技術的な制約によって、市場性が見極めづらかったドローン事業に対して、大手製造業はこれまで模様眺めを続けてきた。そこに今年11月に新たな動きが起きた。

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