「黄金時代」から暗転
とりわけ英国には、中国マネーが深く浸透している。通信や原子力発電、空港、水道などでは中国製の機器や中国資本が多く取り入れられている。深い経済関係を築き、15年頃のキャメロン英首相時代には、英中関係は「黄金時代」にあるとたたえ合った。
ところが、新型コロナの感染拡大で欧州各国が甚大な被害に遭い、状況が一変した。発生源である中国の情報開示が不十分で準備が遅れたという批判が渦巻き、対中感情が悪化。また、中国が香港国家安全維持法を施行して香港の統制を強化するなど、中国の強権主義的な動きが強まり、反発が広がっている。米中対立が激化するなか、米国の同盟国である英国はこれ以上、中国に対して曖昧なスタンスを貫くことが難しい状況になっていた。
そこで、英国は中国に対して2つの大きな決断を下す。ジョンソン英首相は5月、香港返還以前に生まれた香港市民などを対象にした「英国海外市民(BNO)旅券」の保持者に、英国での市民権取得を促す方針を表明した。
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