INTERVIEW 
JR西日本・長谷川一明社長に聞く
柔軟な料金と商品設計で需要を開拓

<span class="fontBold">岡山支社長、近畿統括本部長、副社長を経て、2019年12月に社長就任。</span>(写真=都築 雅人)
岡山支社長、近畿統括本部長、副社長を経て、2019年12月に社長就任。(写真=都築 雅人)

 1987年の会社発足以来、最も厳しい局面に立たされています。2021年3月期は2400億円の最終赤字となる見通しです。年内は新幹線などの長距離利用が前年比3割、関西圏を中心にした近距離利用が6割くらいのまま、低調に推移すると見ています。

 定期券の利用は9割近くまで回復してきていますが、新型コロナによる社会変容で、100%に戻ることはない。全体でコロナ前の9割ぐらいまで戻ればいいところではないでしょうか。コロナ前の営業利益率は10~13%です。もし利用が9割にとどまるのであれば利益を出すのは難しい。新たな需要を取り込んだり、開拓したりしなければなりません。

 こういう時だからこそ、普段はできなかったマーケティングをやるチャンスだと社内に号令をかけています。6月に発売した通勤客向けのチケットレス特急券はかなりの利用があり、3密回避のニーズがあることを確認できました。テストマーケティングを終え、定番のサービスとして始動させます。特急列車だけでなく、関西圏の新快速電車にある着席制サービス「Aシート」(1回500円)の利用拡大にも力を入れます。

 新幹線の利用促進策は、これまでは乗車の21~14日前までに買うと安い「早期割引」が中心でした。新型コロナを受けて、乗車3日前から前日までの購入で半額になる「直前割」を出しています。


混雑時は高く、閑散時は安く

 我々を含む鉄道会社は、運賃が認可制であることを理由に、需要に応じた柔軟な料金設定にする取り組みが不足していた。それを変えていく必要があります。国土交通省に検討を要請しようと考えている幅運賃制度はその一つ。ラッシュ時の運賃を上げて、閑散時は安くする。これは値上げではなく、需要を平準化させて資産効率を上げていくのが主眼です。

 大都市と地方都市を行き来する2拠点居住という新しい生活スタイルを想定し、地方都市での居住と新幹線での移動を組み合わせたサービスの実証実験も始めました。もう、決まった2拠点を往復する定期需要に応えるばかりではいけない。居住など生活にかかわるサービスをワンストップで提供することを考えなくてはなりません。(談)

日経ビジネス2020年10月19日号 44~48ページより目次
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