3Dプリンターなどデジタル化の進展で、1人や少人数でも製造業に挑戦しやすくなってきた。だが、一度ヒット商品を出して終わりになることも多く、生き残れるのはわずかだ。雇用が流動化し、1人で働くことも選択肢に入る時代。ものづくりを継続させる秘訣を探った。

<span class="fontBold">ビーサイズの八木啓太代表は9年間で3製品を開発。GPSによる子供の見守り機器の契約台数が10万台に(写真左)。持ち運べるホワイトボードを販売する福島英彦氏。会社勤めの傍ら副業で開発した(写真右上)。中島多恵子氏は14年前から1人でバッグブランドを運営している(写真右下)</span>(写真=左・右上:北山 宏一)
ビーサイズの八木啓太代表は9年間で3製品を開発。GPSによる子供の見守り機器の契約台数が10万台に(写真左)。持ち運べるホワイトボードを販売する福島英彦氏。会社勤めの傍ら副業で開発した(写真右上)。中島多恵子氏は14年前から1人でバッグブランドを運営している(写真右下)(写真=左・右上:北山 宏一)

 スタートアップのビーサイズ(横浜市)が2017年に発売した、GPSによる子供の見守りサービス「GPS BoT」の契約台数が6月末、10万台を超えた。子供のかばんなどに1辺約4cmの正方形の端末を入れておくだけで、保護者が居場所をスマートフォンで確認できる。端末価格は4800円と競合製品に比べて安いが、月額利用料480円を収益源としている。

 新型コロナウイルスの感染拡大で社会に無料サービスが広がる中、ビーサイズも4月6日から6月末まで端末を無料で配布。年間3万台のペースで販売してきたが、3カ月で約1万2000台分の契約を獲得して大台に乗せた。

 サブスクリプションモデルなので契約者が増えれば毎月の収益は増加する。八木啓太代表は端末無料化が「保護者に知ってもらう機会になった」と話す。

 ビーサイズは、富士フイルムで医療機器の設計者を務めていた八木氏が11年に1人で起業した。当初つくったのは手術用のLEDチップを活用したデスクライト。量産以外のほぼ全ての工程を1人でこなした。13年には木材を使った、無線型のスマートフォン充電器も発売。いずれもデザイン性の高さと、「1人メーカー」というストーリーが受け、コアなファンを獲得し、2年目以降は黒字を維持してきた。

 こうした1人メーカーが成り立つ環境が近年整ってきた。コンピューターと接続した3Dプリンターが普及し、新たに金型をつくるといった追加コストをかけずに、「多様性や複雑性、柔軟性を実現できるようになった」(小林茂・情報科学芸術大学院大学教授)のが主因だ。

 ソフトウエアに比べ、ハードウエアは製造や流通のコストが高かったが、クラウドファンディングの出現で資金調達もしやすくなった。米ワイアード誌の元編集長クリス・アンダーソン氏の著書で、自宅で製造業を営む人たちをテーマにした『メイカーズ』が12年に発売されたのを機に、日本でもメイカーと呼ばれる個人製造業への期待が高まった。

日本では2012年が転機に
●メイカーをめぐる主な動き(写真は2018年のメイカーフェア)
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(写真=朝日新聞社)
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