問題はひとづくりの立ち遅れ

 コンパクトシティの形成や特産品開発などで成功事例がある一方、地方創生で、全国的に総じて立ち遅れているのが、ひとづくりだ。法政大学名誉教授で、各地の地域活性化の現場を長年調査してきた岡﨑昌之氏は「地域に根付き、活性化の核となる人材が十分に育っていない」と指摘する。

 こうした現状の壁を破って先に進みつつあるのが、冒頭の雲南市だ。都会の人材が実際に移住して地域課題の解決に取り組む。また、移住者に触発されて地元の人間も動き出す。地方創生の中で最も再現性のないひとづくりに成功しつつあるのだ。

 都会から人を呼び寄せ続ける雲南市。一体どんな仕掛けをつくったのか。

 雲南市のひとづくりの原点は平成の大合併に遡る。04年に、6町村が合併し雲南市が誕生したが、課題となったのは、東京23区の面積に相当する市域の広さ。従来であれば、農作業の合間に長靴履きで首長に相談事もできたが、「おらがまち」がなくなれば行政と住民との距離は離れる。そこで、市がまず志向したのが「地域自主組織」を核にした分散型の行政だ。明治期の旧町村単位に当たる小学校区ごとに計30を組織し、トップには地元の顔役を据えた。

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