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企業や商品のブランドを消費者が評価する調査「ブランド・ジャパン」。今回、躍進が目立つ海外ブランドは、どんな取り組みを講じたのか。さらに、SDGsも企業のブランド戦略に影響を与えそうだ。

子供向けチャンネルの充実でYouTubeを見せる機会が増えた(画面は「BabyBus」の動画)(写真=陶山 勉)

 「もうおしまいにしようか」「いやっ! もっと見る」

 3歳になる男の子がいる井上家(仮名)で動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)はすっかり必需品になってしまった。子供のお気に入り動画は「ひつじのショーン」や「BabyBus(ベビーバス)」。親が仕事や家事で忙しくても、子供は勝手に「ユーチューブで『ひつじのショーン』を見せて」とディスプレー付きスマートスピーカーに向かって呼びかけて動画を再生する。

 YoutTubeといえば、かつては人をびっくりさせる企画やハプニング映像が幅を利かせている印象が強かった。もちろん、今でもそうした“刺激”の強い動画は人気だ。

 だが、随分と様変わりしている。チャンネル(番組)の内容が多様になっているのだ。

 オモシロ(神戸市)が運営するYouTube情報サイト「ユーチュラ」の年間ランキングによると、登録者数が増えたチャンネルの2019年トップ10には子供向けが3つ、音楽系が3つ、料理系が2つ、ランクインしている。1位は「BabyBus」で271万増、2位は人気アイドルグループ「嵐」で197万4000増だ。子供向けの充実や有名芸能人の参入で、視聴者の層が広がっている。

質と量の充実で市場を拡大

 20回目を迎えるブランド価値の評価調査「ブランド・ジャパン2020」で、YouTubeは一般生活者編で初の1位(前回2位)を獲得した。

 一般生活者編は「フレンドリー(親しみ)」「コンビニエント(役立つ)」「アウトスタンディング(個性や魅力)」「イノベーティブ(革新性や注目度)」の4因子を合計した総合力で評価する。YouTubeはイノベーティブが前回に引き続き、1000ブランド中で2位。加えて、今回、フレンドリーが6位(前回11位)、コンビニエントが2位(同9位)となった。より親しみやすく、役立つメディアになってきたとの評価が順位を押し上げた。

 この背景には、YouTubeを提供する米グーグルによる「4R」という戦略がある。4Rとは、ガイドラインに反するコンテンツを削除する「Remove(リムーブ)」、推奨できないコンテンツを判別し拡散を抑える「Reduce(リデュース)」、逆に推奨コンテンツを「おすすめ動画」などに登録して見つけやすくする「Raise(レイズ)」、ユーチューバーの収益化を支援する「Reward(リワード)」の頭文字を取っている。

日経ビジネス2020年3月30日号 76~79ページより目次