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 15年末に習近平国家主席の指示の下で、中国軍は組織を再編し、サイバー戦闘能力を高めた。このときの機構改革でNSDが誕生し、それまで総参謀部が管轄していたサイバー部隊を傘下に納めた。NSDが司令部で、傘下のサイバー部隊が攻撃の実行部隊となる。

諜報から破壊工作まで任務は幅広い
●中国軍のサイバー攻撃体制
(写真=Pool/Getty Images)
注:『China’s Strategic Support Force: A Force for a New Era』(John Costello and Joe McReynolds、米国家戦略研究所)と『The People’s Liberation Army Strategic Support Force: Update 2019』(Adam Ni and Bates Gill、米ジェームズタウン財団)を基に作成

 米情報セキュリティー会社ファイア・アイ日本法人の千田展也アナリストは「『サイバー諜報活動』が主要任務の一つだ」と言う。NSD傘下の「技術偵察局」が主にこの役割を担っている。このほかサイバー攻撃技術などの開発を主な任務とするNSD傘下の「研究所」と呼ばれる機関もサイバー諜報に手を染めている。

 2月10日、それまでほとんど公に出ることのなかった「サイバー兵士」たちの素顔が暴かれた。米司法省が王乾(ワン・チエン)被告、呉志勇(ウ・ジヨン)被告らNSD傘下の第54研究所に所属する軍人4人を起訴したと発表したのだ。17年に米消費者信用情報大手エクイファクスのシステムをハッキングし、1億5000万人分の個人情報を盗み出した疑いが持たれている。