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バイドゥ、アリババ、テンセントの「BAT」がけん引してきた中国ネット業界。そこで次世代企業が存在感を増す。中国の消費者の生活を変えた「TMD」の3社だ。ネットとリアルの融合する新世代プラットフォーマーは日本にも浸透しつつある。

「TikTok」のバイトダンス(左)、出前サービスの美団点評(右上)、ソフトバンクと組んだ滴滴出行(右下)(写真左=Chesnot/Getty Images、右上:VCG/Getty Images、右下:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 「宮崎では中心部以外で流しのタクシーをつかまえるのは難しい。『DiDi』は本当に便利」

 1月20日、宮崎市でDiDiモビリティジャパン(東京・千代田)が提供するスマートフォンアプリ「DiDi」による配車サービスがスタートした。宮崎市で広告代理店を経営する濱元秀俊氏は早速サービスを利用し、利便性を実感した。

 DiDiモビリティジャパンは中国のライドシェア最大手、滴滴出行(ディディ)とソフトバンクの合弁会社で、日本では2018年9月にサービスを開始した。1月には宮崎県のほかにも、和歌山県も対象地域に加わった。1年余りで、北は北海道から南は沖縄の石垣島まで、23の都道府県で配車アプリ事業を手がけるまでになった。

 国内の配車アプリ市場では、ライドシェアの草分けといえる米ウーバーテクノロジーズの日本法人のほか、全国展開するJapanTaxi(ジャパンタクシー)やソニー、ディー・エヌ・エーといった企業が参入し、競争が激しくなっている。その中で、DiDiモビリティジャパンは提携するタクシー会社が500社を超えるなど、事業規模を着実に広げている。現在はタクシーの車載タブレットによる広告収入が中心だが、今後はマッチングによる手数料収入も増えると見込まれる。

 日本でも、配車アプリという日常生活の基盤となるサービスで地位を確保しつつあるディディ。同社は中国発の新世代プラットフォーマーの代表格ともいえる企業だ。

 中国のプラットフォーマーとしてはこれまで「BAT」が有名だった。BATは、検索エンジン・ポータルサイトを手がける百度(バイドゥ)、ネット通販で首位のアリババ集団、SNS(交流サイト)の「微信(ウィーチャット)」やゲームで成長してきた騰訊控股(テンセント)の3社の頭文字を取ったもの。3社は1998年から2000年に創業され、中国の経済とインターネットの発展によって巨大企業へと成長した。

日経ビジネス2020年2月3日号 52~55ページより目次