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12月12日実施の英総選挙では、英国の欧州連合(EU)離脱が最大の争点だ。与党保守党が支持率でリードするが、少数政党の台頭で予測は難しい。保守党の単独政権と労働党の連立政権を軸に、ブレグジットの行方を展望した。

左上:保守党のボリス・ジョンソン首相。選挙戦では奔放な発言を控えている
右上:労働党のジェレミー・コービン党首。草の根の選挙戦に強み
左下:スコットランド民族党のニコラ・スタージョン党首。筋金入りのスコットランド独立論者
右下:自由民主党のジョー・スウィンソン党首。39歳とフレッシュだが知名度に課題

(写真=左上:代表撮影/ロイター/アフロ、右上:AP/アフロ、下2点:ロイター/アフロ)

 12月12日に英総選挙が実施される。最大の争点は英国の欧州連合(EU)離脱であり、将来の国のあり方を決める極めて重要な「ブレグジット選挙」と言える。

16年の国民投票後、結局何も決まらず
●ブレグジットの主な出来事と今後の予定

 ブレグジットを巡る迷走の主因は、英議会の方針が定まらないことにあった。政権与党の保守党は英下院で過半数割れし、保守党の中でも意見が対立。そのため、政府がEUと離脱協定案で合意しても、英下院で否決される状態が続いていた。

 ボリス・ジョンソン首相は、膠着状態を打破するために下院の解散を執拗に提案。10月末に最大野党の労働党がそれを受け入れたことで、選挙戦に突入した。

 ブレグジットに対するスタンスは、保守党が「離脱」の方針を明確にする一方、労働党は離脱か残留かを示さず、国民投票の再実施を掲げる。少数政党のスコットランド民族党(SNP)と自由民主党が「残留」という構図だ。

 11月24日、日曜日。保守党がマニフェスト(政権公約)の発表の場に選んだのは、英中部のテルフォードという街だった。朝、ロンドンから電車に乗った筆者がウォルバーハンプトン駅で乗り換えると、目の前にジョンソン首相が現れた。気温8度と肌寒いが、コートを羽織っていない。

 保守党がメディアに推奨した電車にジョンソン首相が乗ってきたのは、注目を集める狙いがあったのだろう。心なしかほほ笑みながらずんずんと歩く首相を、カメラマンたちが「ボリス!」と叫びながら追いかける。電車から降りたジョンソン首相はさっそうと首相専用車「レンジローバー」に乗り込んだ。

 「ブレグジットをやり遂げ、英国の潜在力を解き放す」。午後2時からテルフォードの会議場で始まったマニフェスト発表会で、ジョンソン首相は高らかに宣言した。「労働党はブレグジットの戦略がない」とこき下ろすと、集まった保守党員は大いに盛り上がった。

日経ビジネス2019年12月9日号 52~57ページより目次