そもそもMIが脚光を浴びるようになったきっかけは米国が作った。11年に当時のオバマ米大統領が打ち出した国家戦略「マテリアルズ・ゲノム・イニシアチブ(MGI)」。コンピューターを駆使して⽣物のゲノム(全遺伝情報)解析を猛スピードで進めて⽣命科学や新薬開発に⾰新をもたらした成功体験を材料分野に持ち込んだ。コンピューターを使って未知の素材開発に弾みをつける狙いで、15年までの5年間に550億円以上を投じた。
米国に倣えと、各国がMIに国費を投入するようになる。欧州連合(EU)や韓国に加え、近年、勢いを増すのが中国。100億円規模とみられる国家予算をつけ、中央政府直轄の中国科学院などが中国版MGIを推進している。製造業の⾼度化を⽬指す「中国製造2025」でも材料分野を重点領域にする中国。MIによる技術革新への期待は高い。
日本はNIMSなどが中心となって国を挙げたプロジェクトを13年から推進。15年7月に立ち上がった革新的な蓄電池材料や熱電材料を探すプロジェクトには約90社の企業が参画。合計3つのプロジェクトに国は19年度までに累計200億円規模を投じている。
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