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経団連の「就活ルール」がなくなってから初となる2021年卒予定の学生の就職活動が始まっている。産業界では横並びの一括採用の見直し機運も高まり、企業の採用の在り方は変わりつつある。学生優位の「売り手市場」が続く中で、企業や学生はどう動いているのか。「21年採用戦線」を追う。

(写真=PIXTA)

 「優秀な学生を確保するには、夏から始めなければ」。こう明かすのは、川崎重工業の担当者。同社はこれまで冬休みを利用して大学3年生(大学院生は1年生)向けに提供していたインターンシップ(就業体験)プログラムを今年、夏休みに前倒しで実施した。

解禁前に約8割がインターン参加済み
●20年卒学生のインターン参加率と平均参加社数
出所:マイナビ「2020年卒マイナビ大学生広報活動開始前の活動調査」

 景気拡大に伴う人手不足の深刻化と相まって、就活の「入り口」としてすっかり定着した感のあるインターン。人材情報大手マイナビ(東京・千代田)によれば、20年卒の学生のインターン参加率は広報活動解禁前の3月まででおよそ8割にのぼった。

 21年卒では川崎重工のようにインターンの実施時期を前倒しする企業が少なくない。背景にあるのは経団連が定めていた「就活ルール」の廃止だ。大学3年生の3月に企業説明会が始まり、大学4年生の6月から選考開始というのが、これまでのスケジュール。政府・大学が主導する形に切り替わる21年卒の採用活動でも踏襲されるが、企業側はこれまで以上に優秀な学生が他社に囲い込まれるのでは、と不安になる。

インターン参加時期の逆転
●20年卒と19年卒のインターン参加時期の分布
出所:キャリタスリサーチ「2020年卒特別調査 インターンシップに関する調査」

 今年から夏のインターンを新たに始めた輸入車販売大手ヤナセの採用担当者は「就職情報会社などから、今年の動き出しは早いと聞かされた。以前よりヤナセの認知度も低下しており、インターンも前倒しする必要があると判断した」と明かす。

 焦っているのは学生も同じだ。「就活ルール廃止」の言葉がひとり歩きし、「不明確なことが多くなり、取り残されてしまうのではと感じてしまう」と首都圏の国立大学の大学院生が明かす。

 企業も学生も募らせる不安。それが早期化に拍車をかける。マイナビによれば、21年卒予定の学生の77%が6月末時点で「インターンシップに応募・選考・参加予定あり・参加済み」と回答。インターンに参加するための説明会に参加した学生は64.9%と、前年より11.3ポイント上回った。

 早期化を促す要因には、学生の就職活動に対する意識の変化もある。学生優位の「売り手市場」の中でも、行きたい会社や業界をしっかり絞り込んだ上で、企業の選考プロセスに挑もうという学生が増えているのだ。

 コンサルティング大手アクセンチュアが今夏開いたインターンに参加した都内の国立大に通う3年生の文系学生の場合、「興味のあるコンサル業界を中心に参加している。インターンを通して自分に合った会社かどうか見極めたい」と、既にコンサルティング業界に照準を合わせていた。

日経ビジネス2019年9月9日号 64~66ページより目次