電話交換機の主要メーカーとして「電電ファミリー」を構成していたNECと富士通。事業売却や人員削減を繰り返し、売上高は20年間で半分近くに減った。黒字こそ確保するもののいっこうに利益率は上がらない。復活シナリオはあるのか。
中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への制裁が強まって商機を得る企業はどこか──。
国内勢で候補として真っ先に挙がるのが、通信機器の名門といえるNECと富士通だ。かつて日本電信電話公社(現NTT)向けの電話交換機を手掛けた「電電ファミリー」の中核2社だが、ファーウェイの顧客を奪うどころか、携帯電話基地局をはじめとする通信機器事業が全社の業績の足を引っ張る。
古い蜜月関係から、2社は通信機器事業でNTTドコモ向けの基地局を主力としてきた。NTTドコモはファーウェイ製品を調達していないとされ、制裁が強まってもNTTドコモ向けの販売は増やせない。ファーウェイ製を調達していた国内外の通信事業者に売り込む態勢も整っていなかった。
国内で約2万4000人を削減
電気通信事業を独占した電電公社に交換機などを納めてきた両社は、1990年代以降のモバイル時代でもNTTグループと歩調を合わせて通信機器や携帯電話機を開発し、納入してきた。
しかし、状況は変わった。「富士通はもうメーカーではないと宣言するし、NECは強みのある技術を失った。世界では勝てない」。NTT幹部の指摘は手厳しい。「1社の顧客だけを向いて事業を続けてきた結果、製品の競争力を失ってしまった」と東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは分析する。
2社はITバブルに沸いた2000年以降、国内の人員削減を繰り返してきた。18年にはNECが45歳以上を対象に早期退職を募り、同年末には2170人が会社を去った。富士通は18年秋から間接部門の社員の直接部門への配置転換を進めた結果、2850人が19年3月末までに早期退職した。00年以降の国内の人員削減数はNECが約1万人、富士通が約1万4000人に及ぶ。
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