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1990年代、財政赤字は急拡大し、累積債務は600兆円に達した。社会保障費の増大や景気の低迷だけが原因ではない。環境変化に適応しない大蔵省手法が失敗し続けたことも影響した。

 斎藤次郎という名を聞いても、ピンと来る人は少なくなったことだろう。2009年10月から3年余り、日本郵政の社長を務めたが、それは後の話。むしろ、1993年6月に大蔵省(現・財務省)の官僚トップである事務次官に就任したころの剛腕ぶりで有名になった人物だ。

 自民党の実力者だった小沢一郎(現・自由党共同代表)に近く、小沢が党を割って新生党を立ち上げ、日本新党代表の細川護煕をかついで93年8月に細川政権を成立させると大型間接税である国民福祉税構想を細川に打ち上げさせた。「10年に1度の大物次官」と称された斎藤最大の逸話である。