1973年、第1次石油危機が勃発し、日本経済は大転換を迫られる。列島改造と相まって狂乱物価が起き、金融引き締めなどで不況に。年功賃金など日本的経営の改革に迫られたが、未完のままに終わった。

パニックは突然起きた。
1973年11月1日、大阪府豊中市の千里ニュータウン。駅前のスーパーに開店とともに数百人の主婦らが押し寄せ、トイレットペーパーを奪い合い始めた。数百個のトイレットペーパーのパックは瞬く間に売り切れ、倉庫にあった値段の高い在庫も店頭に並べるとすぐになくなった。騒ぎは大阪だけにとどまらない。このスーパーでの出来事が新聞に報じられるや、あおられるかのように首都圏や東海、北陸など各地で店頭のトイレットペーパーに人々が押し寄せた──。
70年代の日本経済を振り返る際、必ず登場する有名なトイレットペーパー騒動。この光景は、既に68年にGNP(国民総生産)で世界2位に躍り出ていた日本経済が、実は脆弱な構造の上に成り立っていることを示す象徴的なものだった。
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